APTによるパッケージのインストール
それでは、APTを使ってみましょう。APTを使う場合にはapt-○○というコマンドを実行します。LPIC試験で押さえておきたいのはapt-cacheコマンドとapt-getコマンドです。
apt-cacheコマンドは主にパッケージの状態や依存関係を確認するときに使用し、apt-getコマンドはインストールしたりアンインストールするときに使用します。これらはyumコマンドと同様、サブコマンドといわれるapt-getの後に付けるワードによって操作を指定します。LPIC試験ではサブコマンドに何を入れるかが問われることもあるので、合わせて覚えておきましょう。
まずはapt-cacheコマンドを使ってCUPSが依存しているライブラリを確認しましょう。
# apt-cache depends cups cups 依存: libavahi-client3 依存: libavahi-common3 ……以下略……
依存関係の一覧が表示されます。「依存(Depends)」となっているものは必須、「推奨(Recommends)」「提案(Suggests)」はあったほうがよいもの、という意味です。次にapt-getコマンドを使ってCUPSをアンインストールしてみましょう。
# apt-get remove cups パッケージリストを読み込んでいます... 完了 依存関係ツリーを作成しています 状態情報を読み取っています... 完了 以下のパッケージが自動でインストールされましたが、もう必要とされていません: linux-headers-3.13.0-32 linux-headers-3.13.0-32-generic ……中略…… これを削除するには 'apt-get autoremove' を利用してください。 以下のパッケージは「削除」されます: bluez-cups cups hplip indicator-printers printer-driver-gutenprint printer-driver-hpcups printer-driver-postscript-hp printer-driver-sp ……中略…… Removing printer-driver-splix (2.0.0+svn315-2fakesync1) ... Removing cups (1.7.2-0ubuntu1.7) ...
依存関係を判断した後、削除を行っていることが分かります。最後の「Removing cups (1.7.2-0ubuntu1.7) …」でCUPSが削除されました。
それでは再びdpkgコマンドで、CUPSがアンインストールされたかを確認してみましょう。
# dpkg -l cups ……中略…… ||/ 名前 バージョン アーキテクチャ 説明 +++-==================================-======================-======================-========================================================================= rc cups 1.7.2-0ubuntu1.7 i386 Common UNIX Printing System(tm) - PPD/driver support, web interface
先頭2文字のアルファベットが「ii」から「rc」に変わっています。rは「削除(remove)」、cは「設定(config file)」です。これが意味するところは「削除はしたけれども、設定ファイルが残っている」です。実はremoveというサブコマンドでは、設定ファイルは残すことになっているのです。
では、設定ファイルも合わせて削除するにはどうすればよいでしょう? それにはpurgeというサブコマンドを使用します。purgeとは「一掃する」「浄化する」といった意味です。removeは設定ファイルを残した状態で削除を行い、purgeは設定ファイルも含めて削除するのです。
それではpurgeを実行してみましょう。
# apt-get purge cups ……中略…… Purging configuration files for cups (1.7.2-0ubuntu1.7) ...
最後にpurgeを実行していることが分かりますね。結果をdpkg -l cupsで表示してみましょう。
||/ 名前 バージョン アーキテクチャ 説明 +++-==================================-======================-======================-========================================================================= un cups <なし> <なし> (説明 (description) がありません)
先頭2文字が「un」になっています。uは「不明」、nは「なし」を意味します。これで完全に削除できました。removeとpurgeの違いはたびたび試験で問われるので注意しましょう。
なお、purgeをオプションとして、次のように実行することも可能です。
# apt-get --purge remove cups
アンインストールが完了したので、dpkgコマンドでCUPSをインストールします。dpkgコマンドでパッケージをインストールする場合には、次のようにオプションや引数を指定します。
# dpkg -i cups_***.deb
「***」部分にはバージョンの指定が入ります。dpkgコマンドで指定するパッケージ(バイナリファイル)の拡張子は「.deb」です。また、オプションiはinstallの「i」です。このオプションについてはrpmコマンドと同じですね。
では、CUPSのdebファイルを取得しましょう。このdebファイルはwgetコマンドでインターネット上から取得してもよいのですが、今回はapt-getコマンドを使用してダウンロードを行います。ダウンロードを行うときのサブコマンドはdownloadです。
# apt-get download cups # ls cups_1.7.2-0ubuntu1.7_i386.deb
debファイルがダウンロードされました。このdebファイルをインストールしましょう。
# dpkg -i cups_1.7.2-0ubuntu1.7_i386.deb
上記の実行が終わったら、インストールできているかを確認します。
# dpkg -l cups ||/ 名前 バージョン アーキテクチャ 説明 +++-==================================-======================-======================-========================================================================= ii cups 1.7.2-0ubuntu1.7 i386 Common UNIX Printing System(tm) - PPD/driver support, web interface
無事インストールができています。なお、apt-getコマンドでもinstallサブコマンドを使ってインストールを実行できます。
# apt-get install cups
以上で、Debian系ディストリビューションで行う、パッケージ管理ツールを使ったインストールは完了です。ここまで使ったコマンドをまとめておきましょう。
パッケージ管理ツールでインストールする方法
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dpkgコマンドでは、dpkg -i <インストールしたいパッケージのdebファイル> -
apt-getコマンドでは、apt-get install <インストールしたいパッケージ名>
パッケージ管理ツールでアンインストールする方法
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設定ファイルを残す場合
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dpkgコマンドでは、dpkg -r <アンインストールしたいパッケージ名> -
apt-getコマンドでは、apt-get remove <アンインストールしたいパッケージ名>
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設定ファイルを残さない場合
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dpkgコマンドでは、dpkg -P <アンインストールしたいパッケージ名> -
apt-getコマンドでは、apt-get purge <アンインストールしたいパッケージ名>
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パッケージ状況を表示する方法
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全パッケージの状況を表示する場合は、
dpkg -l -
指定したパッケージのみ表示する場合は、
dpkg -l <確認したいパッケージ名>
パッケージの依存関係を表示する方法
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apt-cache depends <確認したいパッケージ名>

