目標を定め、最後までやり切る経験が実力を伸ばす
――スキルアップにPHP認定技術者試験を活用するようになって、どのような効果がありましたか。
合格者が5割を超えたころから、コミュニケーションが非常にとりやすくなったと感じています。PHP認定技術者試験という1つの基準を共有しているためか、共通の言語ができたというか、基本原理で会話が成り立つようになっています。変な言い方ですけど、「どこコピペすればいいですか」という話はなくなりました。どのような仕組みでやればよいかという話が標準化されていくので、それによって生産性も高まってきました。
――コミュニケーションがとれるようになったというのは大きな効果ですね。
同じ考え方や基準を共有するというのは、非常に良いことだと思っています。あと、PHPに限らず、試験に受かる人は必要か必要じゃないかを考えず、すべてをきちんと勉強しますね。試験範囲で実務では使わない部分があっても、合格するためには勉強しなければならない。どれが重要か重要でないかを取捨選択している暇があったら、全範囲を勉強するほうが時間的にも早いし、生産性も上がるということがわかるようになりました。
――まず動いて最後までやり切る人がゴールに到達できるということですね。
「これは意味があるのか」と言っているのでは受からないし、ずっとできない。何らかの理由があるから試験範囲に入っているわけです。それをちゃんと決められた期間でマスターしてやり切れる人は、仕事でもそういうやり方できちんとできます。
資格試験は、学習の範囲や道しるべを提示してくれる分、やりやすいと思います。合格した後に振り返ってみると、使わないと思ったものも過程の1つだといえるし、実力がついているので肯定するんですけど、最初からやりもせず、ただ文句を言うだけだと、合格もできないし、実力もつかない。試験全般にいえることですが、試験には明確に進むべきベクトルを示してくれるという効用があると感じています。
――試験を受けて実力をつけた人と、試験を受けずに実力を伸ばしてきた人との違いはありますか?
試験を受けなくても実力を伸ばしてきた人は、試験を受ければすぐ合格します。学校などで基本原則をきちんと学ぶとか、資格試験勉強と同等のことをやり切ってきているので。
ただ、何もやっていないのにインストール動画を見て勉強した気になっている人もいます。試験も受けないし、勉強もしてるつもりだけなので、そういう人は伸びないです。試験を受けて伸びる人はよくわかりますけど、試験を受けなくても伸びている人は過去を遡るとどこかできちんと基本を学んでいるんですね。試験を受けていないだけなんです。
――何か目標を定めてきちんとやり切った経験を持つ人は伸びるということですね。
学歴も資格もなく、そういった経験もない人が伸びるというのは見たことがない。どこかでそういう経験が必要です。それまではそういう経験がなくても、社会人になってからチャレンジする機会が資格試験だと思っています。
学校では何となくエスカレーターで上ってきても、社会に出ると自分の足で階段を上っていかなければならない。そのときに目標を提示してくれるのが資格試験です。その目標をやり切れば、学校では経験できなかったことを、それと同等か、それ以上の実力を身につけてやっていくことだってできるんだと思っています。
――機会を与えてくれるという意味でも、スキルを習得するという意味でも、資格試験は非常に有効なツールなんですね。
私もそう思って、昔いろいろな資格を取得しました。今でも一番覚えているのが、会計士の勉強をしていたときのことです。会計士の財務諸表論は、何百もの論点を覚えなければならない、理屈だけのつまらない学問だと思っていました。
ところがあるとき、財務諸表論の基本を体系的に説明した本を読んで、いずれの論点も基本原則の組み合わせであって、20個ほどの基本的な考え方ですべてを解決できるとわかったんです。目からうろこが落ちました。それ以降、勉強している内容がよくわかるようになったんです。
この経験から、WordPressなども基本原則を組み合わせたもので、まずはPHPの基本を理解しなさいと口を酸っぱくして言っています。体系的に学ばないとダメだと。それが昔資格取得の勉強をしたときに自分自身が学んだことです。
――最後に読者に向けてメッセージをお願いします。
資格試験は取得したほうがいいです。社会人ならむしろチャンスだと思ったほうがいい。学歴などにコンプレックスを持つ人がいるかもしれませんが、資格試験で後からいくらでも逆転可能です。そのための道しるべになってくれます。IT資格はいくらでもあるので、今すぐ取り組むことをオススメします。
――ありがとうございました。