連載にあたって
すでにITエンジニアとして第一線で業務に携わっている人の中にも、「スキルアップを図りたい」「担当業務の幅を広げたい」と感じている人は多くいらっしゃることでしょう。 そういった方々にとって、資格取得は1つの有効な手ではないでしょうか。
しかし、IT業界には数多くの資格があります。自分の業務にフィットする資格を取得するのがスキルアップには一番早いと思いますが、これといった資格が見つからないと感じる人も多くいらっしゃるのではないでしょうか。また、わかってはいても受験勉強の時間が取れないと嘆いている人もいることでしょう。
本連載がターゲットとするのは、経済産業省が「情報処理技術者としての『知識・技能』が一定以上の水準であることを認定している国家試験」のうちの1つである「応用情報技術者」です。 広く一般的な資格として認知されている「基本情報技術者」の、ワンランク上に位置づけされています。
試験を運営している情報処理推進機構(IPA)のホームページにはその対象者像を以下のように記しています。
「高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者」
固い表現ではありますが、ワンランク上のITエンジニアとして広く認知されるきっかけの資格といっても過言ではありません。少し興味が湧いてきませんか?
しかし、この国家資格の試験実施は年に2回しかありません。 この少ないチャンスと、既に働いている方にとって少ない勉強時間を使って効率よく合格するためのエッセンスを、本連載では「スピードアンサー」として紹介していこうと思います。
なぜ「スピードアンサー」か
応用情報技術者の試験は午前試験・午後試験の2部構成になっています。両方とも 合格点をとらないと合格できません。 午後試験については、論理的思考、読解力と一般的な業務知識があれば、比較的合格点を取りやすいと思います。 しかし、午前試験は、幅広い範囲から出題される「知識」の問題です。 過去問題の類似問題も多く出題されていることからも、まず過去の問題をきちんと 理解しながら解けることが合格への近道です。
この連載では、応用情報技術者の午前試験の問題をターゲットに、ひと目で答えが出せるよう、 「スピードアンサー」として計算問題の公式や論理的な問題の解法を紹介していきます。 また、問題によっては、ひと目で正解を見抜くヒントを紹介していきます。 そのうえで、「これで解ける!」として、解答手順を示していくことで、類似問題への アプローチができるようにしていきます。 また、「理解を深める!」では、より深い知識を習得するための解説を行っています。
これらを眺めながら、「これなら資格が取れそう!」と応用情報技術者試験の受験勉強への きっかけにしていただければとも思いますし、移動中などの隙間時間の学習に 役立てていただければと思います。皆さんの資格取得の一助となることを願ってやみません。
それでは次ページから小手調べとして、基礎理論の中から数問のスピードアンサーを紹介していきます。