Smart相談室は、同社の法人向けオンライン対人支援プラットフォームにおける、2025年の相談実績に関する分析レポートを発表した。
発表内容は以下のとおり。
Smart相談室に寄せられた相談内容の内訳
2025年に同社が受けた相談を機能別に分類すると、「カウンセラー相談」が47.0%、「コーチング」が28.7%、「ティーチング」が24.3%だった。昨年まではカウンセラー相談が半数以上を占めていたが、2025年はコーチングとティーチングを合わせた割合が53.0%と過半数に達している。
この変化の背景には、人的資本経営への注目の高まりがある。従業員のメンタルケアだけでなく、人材開発・育成の観点からコーチングやティーチングの重要性がいっそう認識されるようになったことが、利用傾向に影響していると考えられる。
2025年に「カウンセラー相談」機能へ寄せられた相談内容について、2024年と比較すると、2025年は「心と体に関すること」が3.3%増加した。2024年は月平均8%ほどで推移していたのに対し、2025年4月以降は平均14.6%へと上昇し、メンタルや健康に関する相談が増えていることが分かる。
背景には、働く人自身の「心身の状態を整えたい」という意識の高まりがあると考えられる。また、社会全体でもメンタルヘルスへの関心が強まっており、企業におけるメンタル不調者の増加報告や、国によるメンタルヘルス施策の強化など、心身のケアを重視する流れが続いていることも影響していると考えられる。
働く人のメンタルヘルスと生産性の現状
セッション後にカウンセラーが回答する「相談者の状態」に関するアンケートでは、セッション後にカウンセラーが「メンタルケアが不要」と判断した相談者は約78%だった。また、相談者側のセッション後アンケートでも、8割以上が「前向きになれた」「すっきりした」と回答している。これらの結果から、ちょっとしたモヤモヤの段階で相談し、誰かに受け止めてもらうことで気持ちが整いやすい傾向がうかがえる。
一方で、カウンセラーが「メンタルケアが必要」と判断した相談者は約22%だった。その理由としては、「体調」が23.1%と最も多く、メンタル不調が身体症状に現れるほど深刻な状態の人からの相談が一定数あることが分かる。また、「身体的・性格的特徴」を背景にメンタルケアが必要と判断されたケースも18.8%と比較的多く見られた。さらに、「キャリア」(19.1%)や「将来のこと、人生全体」(16.0%)といった未来に関する不安がメンタル不調の要因になっていると考えられる人も約3.5割にのぼった。
また、カウンセラーから見た相談者のモチベーションについては、約半数に低下が見られた。その理由として最も多かったのは「コミュニケーション」(21.9%)で、次いで「仕事の進め方」(15.7%)、「組織体制・人員配置」(13.0%%)が続いた。これらの結果から、組織内の人間関係や業務プロセス、配置などの構造的な問題が、個人のモチベーションに直接影響していると考えられる。
同社に所属するカウンセラーを対象に、2025年度に受けた相談についてアンケートを実施したところ、相談を申し込むきっかけとして最も多かったのは「思考や気持ちの整理を手伝ってほしい」(38.2%)だった。次いで、「具体的なお悩みに対するアドバイスがほしい」(25.0%)、「とりあえず話を聞いてほしい」(11.8%)という回答が続いた。
この結果から、相談ニーズは単なる問題解決にとどまらず、モヤモヤした感情を整理し言語化する場を求めている人が多いことが分かる。また、「とりあえず話を聞いてほしい」という層の存在からも、予防的な心のケアとしてカウンセリングを活用したいというニーズが高まっていると考えられる。
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