登壇者

内藤 淳(ないとう じゅん)氏
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 技術開発統括部 研究本部 主任研究員
1989年、東京大学文学部社会心理学専修課程卒業後、リクルートに入社。1994年、人事測定研究所(現リクルートマネジメントソリューションズ)に転籍。以来、法人向けの心理アセスメント、組織診断ツールの研究開発および各種人事データの解析に携わる。2014年より、立教大学現代心理学部兼任講師。

馬越 かおる(うまこし かおる)氏
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 技術開発統括部 コンサルティング部 シニアコンサルタント
1998年、人事測定研究所(現リクルートマネジメントソリューションズ)に入社。営業、人事制度・組織開発コンサルタントを経て、採用領域事業の経営企画・統括、商品プロジェクトリーダーを経験。現在は採用・新人若手領域のコンサルティング業務に従事。
キャリア入社者の「最初の成功体験」時期が2年前と比べて遅い
「近年、これまで新卒採用が中心だった大手企業が、キャリア採用を本格化させており、新卒よりも採用数が多いケースも増えています。しかし、採用市場の逼迫を受けて、キャリア入社者の専門性の保有レベルは変化しており、入社後の立ち上がり(組織への適応)に時間がかかる傾向が見られます」(内藤氏)
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そこで内藤氏は、2023年と2025年に実施した「キャリア入社者のオンボーディングと組織適応に関する現状把握調査」の結果を比較。キャリア採用におけるオンボーディングの変化と課題を示した。
まず、採用時に「高度な知識・スキル・経験を活かして即戦力で活躍すること」を期待されたと自認する「専門性重視型」の入社者の割合が、この2年間で59%から44%に減少していることが分かった。
さらに、入社後に最初の成功体験を得る時期や、社内でサブリーダーやリーダーといった1つ上の役割を担う時期が、2023年と比較して半年から1年ほど遅くなっていることが明らかになったという。
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「転職したい」人は減ったが「異動したい」人が大きく増加、なぜ
「職種別の傾向を見ると、営業やスタッフ職に比べて『ITエンジニア』の組織適応水準が、2年で大きく低下していることが分かりました。ITエンジニアでは、特に『会社適応の程度』の低下が大きく、仕事の進め方など組織風土への適応が障害になっていると考えられます」(内藤氏)
一方で従業員規模別の変化を見ると、従業員規模3000名以上の大企業で「職務遂行への自信」や「成長実感」の低下が大きいことが判明。内藤氏は、「仕事面で成果を上げられないことが障害になっている可能性がある」と指摘する。
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また、離職や異動に関する意向にも変化が見られた。「近い将来、他の会社への転職も考えたい」と回答した割合は29%から23%に減少したものの、「他の部署に異動したい」という割合は15%から30%へと大きくに増加している。
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内藤氏は、この背景を次のように分析する。
「転職を考えている人は組織へのコミットメントが低い傾向にあります。一方で、異動を希望する人は職務遂行への自信が低くなっており、専門性の低下やミスマッチの増加によって、仕事面で成果を出すことに苦労していると考えられます」(内藤氏)

