「もう馴染んだだろう」は危険!フォローが手薄になる時期から苦労が増える
キャリア入社者の組織適応を促進するポイントとして、内藤氏は「半年以降のフォロー」と「事前の情報開示」の2つを挙げた。
キャリア入社者が入社後に苦労した項目と時期を見ると、担当業務の理解や関連部署との関係構築など、本格的な壁に直面するのは入社後半年以降が多いという。
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「入社から半年経つと、キャリア入社者は自ら社内の関係者を動かしていくことが求められます。そして、周囲が『もう組織になじんだだろう』と考え、フォローが手薄になりがちなタイミングでもあります。
しかし、オンボーディングは半年で終わらせるのではなく、少なくとも1年から2年のスパンでの中長期的な支援が必要です」(内藤氏)
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また、組織への適応には、入社前の情報開示の程度が影響することも分かった。入社前に想定していた職務内容と実際の担当業務に「違いはなかった」と回答した人はわずか31%にとどまり、約7割が何らかのギャップを感じているという。そして、このギャップが大きいほど組織適応の水準が悪化する傾向が強い。
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このギャップを防ぐ手法として、採用選考時に良い点だけでなく悪い点も含めて正確な情報を伝える「リアリスティック・ジョブ・プレビュー(RJP)」を内藤氏は勧める。しかし現実には、悪い点も含めて一通りの説明があったと回答した割合は約64%にとどまり、約3分の1の企業では悪い点の十分な説明が実施されていないようだ。
「転職で職種が変わらない人ほど、会社側も『説明しなくても分かるだろう』と説明を簡潔にしがちですが、実際には職種変更がない人ほどRJPによる正確な情報伝達が重要です」(内藤氏)
オンボーディングの責任者は採用担当者か、配属先か
ここで馬越氏が登壇。従業員規模500名以上の企業の人事担当者939名を対象とした「中途オンボーディング調査」の結果をもとに、企業側の取り組み実態を解説した。
「企業が認識しているオンボーディングの課題は、『定着しない(離職が多い)』(31.4%)が最も高く、次いで『期待したような成果があげられない』(30.7%)、『仕事内容のギャップが大きい(なじまない)』(27.7%)と続きました。
また、企業が設定しているオンボーディング期間は、『3ヵ月以上6ヵ月未満』(29.9%)で最多であり、半数以上が6ヵ月以内でオンボーディングを終えています。これは、キャリア入社者は半年以降も壁を感じているという内藤の調査結果と合致しておらず、企業側の支援期間が短いことが分かります」(馬越氏)
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オンボーディングの責任部署を尋ねた質問では、「全社の採用担当」(33.9%)、「配属された各部門」(24.8%)で回答が二分された。採用と育成の連動についても、「必要に応じて連動できている」と回答した企業が最多であるものの、「十分には連動できていない」「全く連動できていない」の合計は35%を超えており、「わからない」に至っては5.8%と、採用から育成まで一気通貫のオンボーディング体制に課題が残る結果となった。
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