「事業部が人事を語り、人事が事業を語れる」環境をつくる
1905年に創業し、昨年120周年を迎えたDaigasグループ。グループの中期経営計画では、「ミライ価値の共創」「経営基盤の進化」、そして「従業員の輝き向上」の3つの重点戦略を掲げている。
小林 一生(こばやし いっせい)氏
大阪ガス株式会社 人事部 人材開発チーム マネジャー
2000年大阪ガス株式会社入社。家庭用営業、経済産業省への出向を経て、計画・企画部門にてガス全面自由化対応や導管部門の分社化(法的分離)の責任者を務める。 2022年4月より人事部にて、人事管理(異動配置等)やタレントマネジメントの推進に従事。
「モノやカネ、情報がいくら充実していても、ヒトがアクションを起こさないと実行にはつながりません。経営戦略を事業運営に落とし込むための起点は『ヒト』であり、ヒトの動き方次第で、これからの企業価値は大きく変わっていきます。そのため、人材をDaigasグループにおける最重要資産として位置づけているのです」(小林氏)
同社には、インフラ企業ならではの社会への貢献意欲の高さに加え、「進取の気性」と呼ばれる挑戦による失敗を許容する文化があるという。また、事業領域の広さからさまざまな業務を経験できる環境と、専門性を追求できる環境とが混在している。
多様な人材を最大限に活用して企業価値を創造するために、経営戦略と人事施策を連動させる必要を感じた同社。そして、そのためには経営方針の中身や施策の内容といった『事業の中身』と、人事制度や育成、評価といった『人事情報』との紐付けが不可欠だと考えた。
「大阪ガスのタレントマネジメントの取り組みは、『事業部が人事を語り、人事が事業を語れる環境をつくる』ことをポリシーとしています」(小林氏)
グループの全業務を分類し、「タレントマネジメントデータ体系」を作成
大阪ガスがまず着手したのは、事業内容と人事情報を結びつけるプラットフォームの構築だ。
「まずは事業内容を整理するために、グループの全業務を『トレード』『ガス製造』『計画・企画』など18の大分類に分けました」(小林氏)
さらにそれを中分類、小分類へ細分化。たとえば、「計画・企画」の大分類の下には、中分類として「計画」や「企画」があり、さらに小分類として「組織・要員」「予算」「施策」「制度料金」がある。これらを「経験領域」と呼び、具体的な業務内容まで定義しているのだ。
小林氏が投影した資料には、同社が整理した「タレントマネジメントデータ体系」として、経験領域や業務、必要なスキルなどが細かく並んでいる(次図)。
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そして、それぞれの業務内容に対して、その業務を担当する組織や必要とされるスキルを記載。スキルも、人物特性である「ポータブルスキル」と、事業に関する知見や経験である「テクニカルスキル」を紐付けている。
さらには、これらのスキルを獲得できる組織まで記載。加えて、専門性の高い領域にはスキル評価を行っており、3~4段階評価でランク付けしている徹底ぶりだ。
経験領域の大分類は18、中分類は51、小分類は131にも分けられる。これらの整理には膨大な手間と時間がかかったことは想像に難くない。しかしこれにより、大阪ガスの事業と人事をつなぐ共通言語の土台が完成した。

