実際どこで使われている? 育成・目標設定・評価の実態
では実際のところ、マネジメント業務のどのような場面で生成AIが使われているのでしょうか。調査結果によると、最も多かったのが「メンバーの育成」、次いで「メンバーの目標設定」「メンバーの評価」でした。メンバー育成の場面では、業務ログや過去の面談内容をもとにメンバーとのコミュニケーションを考える際のサポートとして活用している例が多くありました(詳細は本連載第2回で紹介)。目標設定や評価の場面では、「公平性や客観性をどう担保するか」という観点で活用しているケースが多く見られました(詳細は本連載第3回にて紹介)。
生成AIの価値は「効率化」だけではない
生成AIをメンバーのマネジメント業務に活用したことで、「業務の効率化・時間短縮につながった」と感じている人が最も多く、29.4%という結果でした。興味深いのは、それとほぼ同じ割合(0.3ポイント差)で「メンバー1人ひとりへの対応が充実した」と感じる人がいる点です。生成AIというと効率化の側面が注目されがちですが、ことピープルマネジメントにおいては、メンバー個々への関わり方の質という側面に変化を感じている人がいる点は注目すべきポイントです。
詳細は本連載第2回にて取り上げますが、面談や1on1の前に、これまでのメンバーとの会話内容や本人の志向を整理・参照することで、1人ひとりに合わせたコミュニケーションがしやすくなり、メンバー個々への関わり方に余裕が生まれたと感じている人もいるのかもしれません。
活用できている人とできていない人の差
メンバーのマネジメント業務に生成AIを取り入れることで、前述のようなポジティブな変化を感じている人がいる一方で、活用できていない人も一定数います。活用できている人とそうでない人の違いはどこにあるのでしょうか。
調査から見えてきたのは、「利用できる環境」が整っているかどうかの違いです。週3日以上活用している人の約7割は、社内で一定のルールや方針が周知されている環境で活用していることが分かりました。一方、未活用者の4割以上(43.7%)が「自社のルールがない、もしくは分からない」と答えています。
さらに、生成AIをピープルマネジメントで全く活用していない未活用者に対し、その理由を尋ねたところ「特に理由はない」が多く、全体の4割近く(37.2%)を占めていました。次いで「ピープルマネジメントにおいてどのように生成AIを利活用していいか分からない」が多く、この領域でも生成AIを使うことで効率化のみならず個々への対応もよりしやすくなるという認知不足、そもそも使えることを知らない理解不足が大きな要因となっています。
次回予告:具体的には?
調査結果から、すでに半数以上の管理職がメンバーのマネジメント業務に生成AIを活用しており、効率化に加えてメンバー1人ひとりの関わり方に変化を感じている人もいます。次回以降は、具体的にどのような場面で、何をインプットとして、どのように生成AIを活用しているのか紹介していきます。
生成AIは負担が増え続ける管理職にとって、効率化だけでなく、マネジメントの質を高めるための一助になるかもしれません。

