本稿の《前編》はこちらから。
学生への情報発信を成功させる必須のキーワードは「継続は力なり」
――ネット上には、非常に多くの企業のインターン募集情報が掲載されています。その中で自社の募集要項を見つけてもらう、目に留めてもらうきっかけ作りや、検索ワードの設定のコツなどはありますか。
守部直人氏(以下、守部):Wantedly Visit(以下、単にWantedly)を使っている学生であれば、自分が得意とする技術などで探す方も多いです。例えば、Wantedlyで「Python」を検索した時にヒットする会社を選ぶとか。
また、自社に来たインターンに経験談を書いてもらって、Wantedlyのフィード(ブログ投稿機能)に掲載するというのも一つの手ですね。それをインターンの友人や後輩にシェアしてもらうといった仕組みがつくれると、よりターゲット(対象者)に届く可能性が高くなります。
このようなサイクルは1年で終わりではなく、その後も続いていきます。一度スタイルが確立されると、次の年の人たちが以前のインターン体験記を見て「おもしろそう」と思って来てくれることにつながります。企業がフィードなどで継続的に会社の中の情報を発信していくことで、読み手である学生との間にリレーションが生まれていくのです。
――ここ数年、就活生・インターンを意識したオウンドメディアを起ち上げる会社も増えてきました。
竹内瑞季氏(以下、竹内):オウンドメディアにしても、きちんとしたプラットフォームがあれば自然と人は集まってきますし、採用したい内容に合わせて細かく対象者を絞り込んでいくこともできます。例えば、採用したい人材がエンジニアであればエンジニア向けの、営業であれば営業向けのコンテンツを多く露出するという具合に、目的に合わせて使い分けていく。そうした自由度の高さは、オウンドメディアならではです。いずれにしても大事なのは、しっかりとした内容できちんと継続していけることです。
――会社にとって最も大きなハードルの一つが、その「継続」のための体制をいかに作り上げていくかだと思いますが。
守部:そこをうまく回している企業は、メディアやプロジェクトの立ち上げ時にキックオフミーティングなどを行い、全社的な意識づけや軸の擦り合わせをしているところが多いですね。「会社として続けていく」という認識を合わせることが重要です。
具体的に続けていくコツとしては、「とりあえずやるか」ではなく、「いつまでに何本記事を作る」といったロードマップを明確にすることです。明確な目標をメンバーで共有し、同じ方向に向かって動いていけば継続することができますが、最初に目標をきちんと決めておかないと、次第にやらなくなってしまう。そういった話はよく聞きます。「月1本でも2本でも必ずやり遂げる」と決めて締め切りを設け、それを守って動かしていくことが継続の秘訣です。
普段からのコミュケーションで社内のいろいろな人を巻き込んでいく
――最近は、いろいろな企業の人事担当部署を見ても、情報発信やメディア作りに前向きに取り組んでいるところが増えている印象を受けます。
竹内:会社の中でも、人事は重要なポジションになってきています。そうなると人事側でもやりたいことが次々出てきて仕事量も増えていきますが、大切なのはそれらを取捨選択することです。本当に必要な項目を絞り込んで、自分たちのキャパシティとのバランスを見ながら仕事のクオリティを担保していかなくてはなりません。
もう1つ大事なのは、その忙しさを皆で分担できる仕組みを作ることです。ウォンテッドリー社内でも、エンジニアや社内のスタッフとのコミュニケーションを深めながら、インターン関連業務に協力してもらえるよう、周囲を巻き込んでいくように心がけています。
――いつも忙しい上、人事は担当外なので、エンジニアにその気になってもらうのはなかなか難しいと思いますが、どんな働きかけをしているのですか。
竹内:インターンを受け入れているチームであれば、今来ているインターンについての質問や今後の進め方についての相談など、エンジニア側にも話題はいろいろあるはずです。こちらから積極的に話しかけたり、日常的に接点を持つよう心がけていれば、エンジニアからも尋ねてきてくれるようになります。
普段から現場の人たちと密接な関係を持っておけるかどうかは、選考から決定までのスピードなどにも影響してきます。就活生は複数の会社に応募しているのが普通です。人事との関係が薄いために「いつまで経っても選考書類がエンジニアの元から返ってこない」といったことが起きてしまうと、優秀な人材に辞退されてしまうことにもなりかねません。