関数の入れ子(ネスト)
では、2問目です。
問2
次の中からエラーにならないSQLをすべて選択しなさい。
- a. SELECT COUNT(MAX(AVG(MONTHS_BETWEEN(hire_date,SYSDATE)))) FROM employees GROUP BY MONTHS_BETWEEN(hire_date,SYSDATE);
- b. SELECT MAX(SYSDATE - hire_date) FROM employees;
- c. SELECT MAX(AVG(ADD_MONTHS(hire_date,60))) FROM employees;
- d. SELECT MAX(AVG(MONTHS_BETWEEN(hire_date,SYSDATE))) FROM employees GROUP BY MONTHS_BETWEEN(hire_date,SYSDATE);
- e. SELECT MAX(AVG(MONTHS_BETWEEN(hire_date,SYSDATE))) FROM employees;
関数の引数に関数を使用することを関数の入れ子(ネスト)といいます。単一行関数では入れ子の深さ(ネストレベル、多重度とも)に制限はありませんが、グループ関数では入れ子の深さは2つまでです。したがって、COUNT
-MAX
-AVG
とグループ関数が3つ入れ子になっている選択肢aは不正解です。
SQL> -- 選択肢a SQL> SELECT COUNT(MAX(AVG(MONTHS_BETWEEN(hire_date,SYSDATE)))) FROM employees 2 GROUP BY MONTHS_BETWEEN(hire_date,SYSDATE); SELECT COUNT(MAX(AVG(MONTHS_BETWEEN(hire_date,SYSDATE)))) FROM employees * 行1でエラーが発生しました。: ORA-00935: グループ関数のネスト・レベルが深すぎます。
次に、グループ関数の引数には、数値しか指定できないものがありました。それが、AVG
(平均)とSUM
(合計)です。 言い換えれば、MIN
(最小値)、MAX
(最大値)、COUNT
(件数)の引数は数値型以外、例えば文字型や日付型でも構いません。
また、日付どうしの減算は、その期間を日数(数値)で表します。したがって、選択肢bは正解です。
SQL> -- 選択肢b SQL> SELECT MAX(SYSDATE - hire_date) FROM employees; MAX(SYSDATE-HIRE_DATE) ---------------------- 5672.62881
MONTHS_BETWEEN
関数は、指定した日にちどうしの期間を月数を戻す関数ですから、戻り値は数値です。ADD_MONTHS
関数は、指定した日にちのnか月後(nが負数の場合はnか月前)を戻す関数ですから、戻り値は日付です。 だから、同じように見える選択肢c、d、eですが、選択肢cは実行エラーになり、選択肢dはエラーになりません。
SQL> -- 選択肢c SQL> SELECT MAX(AVG(ADD_MONTHS(hire_date,60))) FROM employees; SELECT MAX(AVG(ADD_MONTHS(hire_date,60))) FROM employees * 行1でエラーが発生しました。: ORA-00932: データ型が一致しません: NUMBERが予想されましたがDATEです。
SQL> -- 選択肢d SQL> SELECT MAX(AVG(MONTHS_BETWEEN(hire_date,SYSDATE))) FROM employees 2 GROUP BY MONTHS_BETWEEN(hire_date,SYSDATE); MAX(AVG(MONTHS_BETWEEN(HIRE_DATE,SYSDATE))) ------------------------------------------- -99.149442
では、選択肢dとeの違いはなんでしょう?
SQL> -- 選択肢e SQL> SELECT MAX(AVG(MONTHS_BETWEEN(hire_date,SYSDATE))) FROM employees; SELECT MAX(AVG(MONTHS_BETWEEN(hire_date,SYSDATE))) FROM employees * 行1でエラーが発生しました。: ORA-00978: `GROUP BY`句が指定されずにグループ関数がネストしています。
そうです。GROUP BY
句を指定している(選択肢d)か、指定していないか(選択肢e)の違いです。 実行時のエラーから分かるように、グループ関数を入れ子(ネスト)させて使用する場合にはGROUP BY
句が必要です。
よく考えてみましょう。 GROUP BY
句を指定しない場合には、返される行全体を1つのグループとして処理されますよね。AVG
関数なら全行の平均を求めます。結果は1行だけ戻ってきます。その値をさらにMAX
関数で処理する必要はないですよね。全行の最大値を求めたいなら、AVG
関数と入れ子にする必要はありません。 しかし、何らかのグループの平均を求めた上で、その中で最も大きい値というのなら、あり得ることでしょう(設問のSQLがあり得ることかどうかは別として)。
したがって、選択肢dは正解で、選択肢eは不正解です。
復習ポイント3
- 単一行関数の入れ子は無制限。
-
グループ関数の入れ子は
GROUP BY
句を指定した上で、2つまで。