事業・組織成長に「カルチャーの言語化」は不可欠
組織における「カルチャー(文化)」とは、従業員が共有する価値観や信念、態度、行動規範、そして組織内での意思決定や行動様式を支配する「見えないルールの集合体」を指します。これらは、組織のDNAともいえるもので、何かを決める際の指針になったり、業務の進め方や人間関係に大きな影響を与えたりします。
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DIGGLEでは、カルチャーを「組織を作る上で大切にしてきた考え方やそれに基づいた行動、またそうした考えや行動が積み重なった結果として染み出した空気感のようなもの」と考えています。
空気感とは、社員以外の人から見た“その企業らしさ”がそれに近いのかなと。そして、組織が大きくなればなるほど、この見えないルールでもある暗黙知が認識されづらく、解釈の幅が大きくなってしまうケースがあります。組織が大きくなるにつれて物理的にトップの声が届きにくくなり、また階層構造が増えて人が介入することにより、解釈がズレやすくなってしまうからです。
組織が拡大しても、スピード感を持って事業を前に進めていくためには一体感を醸成することが不可欠で、そのためには全メンバーがカルチャーの共通認識を持つことが必要だと考えます。そのために必要なのが、「カルチャーの言語化」です。
以上のことから、カルチャーの言語化と浸透は、組織が拡大していくフェーズにおいて非常に大事なプロセスであると考えます。一方で、特に言語化には次のようなリスクもあります。
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- 言語化と実態の乖離
- 言語化されたカルチャーが理想論や表面的な言葉にとどまっていたり、経営者や人事担当者、管理職メンバーの言動と一致していなかったりすると、従業員が「形だけ」と捉えて、組織の信頼を失う可能性があります。
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- 過度な限定や硬直化
- 言語化されたカルチャーが「こうでなければならない」と厳密すぎる場合、柔軟性が失われ新しいアイデアや変化への適応力が低下する可能性があります。
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- 定着しない
- 言語化されたカルチャーが現場レベルで実行されない場合、形式的なものとなってしまう。
これらのリスクを防ぐためには、言語化されたカルチャーを経営陣が自ら率先して体現していくことと、カルチャーは事業や組織フェーズによって常に変えていくものだという共通認識を持っておくことがとても重要です。
カルチャーの言語化におけるステップ
言語化のステップや組織への落とし込み方について、当社が実践してきた事例をご紹介します。
私が1人目の人事として入社した2023年ごろ、DIGGLEはまだ30名ほどの組織でした。MVV(Mission・Vision・Values)はすでに存在しており、メンバーが大切にしているものはふんわりと共通しているものの、それが認識しやすい・行動に落とし込みやすいアウトプットになっておらず、新入社員や社外のステークホルダーに対して説明しづらいものでした。
たとえば、DIGGLEのValues(行動規範)の1つに「高速考動」があります。「最適な方法を考えたうえで、かつ素早く行動することが大切だ」という考えのもとつくられた言葉なのですが、ただ早く取り組むことを「高速考動」と呼ぶケースがあるなど、人によって若干の解釈のズレが出てきてしまっていました。
そこで、人数が増えてもカルチャーへの共通認識を全員が持てるよう、より細かい言葉・解釈の落とし込みが必要だと考えました。
まずは、創業者である代表に複数回のインタビューを行い、創業時の想いやValues(行動規範)を決めたときのプロセス、これまでの採用や大きな意思決定で大事にしてきたことなどをインタビューし、中核となる要素や目指す未来の解像度を高めていきました。また、その過程で各チームの責任者も巻き込み、代表の想いに対して意外に感じた点などのフィードバックをもらって細かくすり合わせをしていきました。
そうしてプロジェクトメンバーと話し合いを重ね、最終的にはValuesを「良いとされる行動(Do)」「良くないとされる行動(Don't)」「その理由」「具体的な行動イメージ」というレベルまでブレイクダウンして言語化し、「カルチャーブック」として公開しました。
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