株式会社ビービットは、企業がWebサイトを持つことが当たり前になってきた2000年に、インターネット領域におけるコンサルティングを主たる事業として設立されました。以来、人間中心、ユーザー中心のWebサイトを追求し、コンサルティングや解析ツールの提供を行っています。
2010年代に入ると、「インターネット」「日本」という枠組みを抜け出して、「ビジネスシステム」「グローバル」というビジョンを掲げ、海外展開とサービス開発に着手。中国での先端的な取り組みに関する研究を取りまとめた「アフターデジタル」という考え方の提唱でも注目を集める存在となりました。そして現在、コンサルティングを柱としてきた業態から、SaaSを基盤にコンサルティングを合わせた二本柱によるUX企画のトータルソリューションへと、事業転換を推し進めています。
今回お話をお伺いするのは、同社の旗艦製品である「USERGRAM(ユーザグラム)」のプロダクトマネジメントという重責を担う、那珂将人さんです。従来のアクセス解析とはまったく異なり、「人」を中心として分析や改善点の発見を行う同ツールに、機械学習や統計解析といった先端技術のインプリメンテーションを進めています。
また、那珂さんはグローバルで活躍したいという学生時代からの思いから、中国の先端的なIT企業でビジネス経験を積んだ、日本では異色のキャリアの持ち主です。英語、中国語、ポルトガル語など複数言語を操り、現在も多国籍のメンバーをマネジメントしながら、重要プロジェクトを切り盛りされています。
そうした日々の中で、那珂さんはいったいどんな獲得目標や勝利条件を描いているのか。その頭脳に迫ります。
機能開発も運用安定化も。全社戦略の最重要プロダクトの最前線を担って東奔西走する毎日
――まずは、現在携わっておられるお仕事について教えてください。
当社はUSERGRAMというユーザエクスペリエンス(顧客体験、UX)における課題発見のための分析ツールを提供していまして、私はその開発や運用など、関連して発生するいくつかのプロジェクトに携わっています。
ビービットは、もともとコンサルティングを主に事業展開してきた企業で、ソフトウェアについてはベンチャーです。チームの役割分担もまだまだはっきりしていなくて、いろいろなことを同時並行でやらないといけない状況なんですね。機能改善系のプロジェクトもあれば、安定運用といったインフラ整備・基盤まわりの非機能系のプロジェクトもあるなど、様々な案件に取り組んでいます。配分としては半々ぐらいですね。
――機能改善系とは、具体的にはどんなものですか。
大小色々ありますが、一例を挙げると、AI機能を強化するためのデータフローまわりの整備などがあります。機械学習するためのデータをどうやってとってくるかとか、フローがちゃんとしていないと学習するための材料が不足したりするのでそれをどうするかとか、そういった課題を解決するプロジェクトが走っています。
細かいものでいうと、以前リリースした機能の改善や高速化などもあります。1つ1つは数人のチームでやって、期間としては、要件の確定からリリースまでに2か月弱を要するようなものですね。
――AI機能がどういったものかを教えていただけますでしょうか。
例えば、携帯電話契約の変更方法などを知りたくて携帯会社のWebサイトを読んでみたけれど、よくわからないから電話した、ということがありますよね。ユーザーとしては、かなりストレスを感じるシーンです。
そんなとき、電話を受けたオペレーターが、その人の行動履歴を知ることができたら、相手がどこでひっかかって電話したかがわかります。ページのどこをみて詰まったのか、そこでどんな行動をとって課題が解決したのか、またはしなかったのか。そういったことを見られるようにするための機能です。
具体的には、ユーザーのWebサイトの閲覧履歴、モバイルアプリケーションの操作や来店情報など、様々なユーザの行動データから、個人の興味関心を表すというものです。行動の似た人をグルーピングして、お客様が「こういう人たちが来訪していますよ」というものを把握できるようなものもあります。
これまではWebサイトを訪問したユーザーの分析を行う機能が主だったのですが、それ以外のユーザー接点についても、まんべんなく機能提供できるように拡張を進めています。