企業の新規事業開発支援やスタートアップへの投資事業を通じて「ビジネスフロンティア開拓事業」を行うフィンチジャパンは7月20日、自殺リスクを予見するアプリを開発する米Voiと業務提携契約を締結した。
米Voiは、米ダートマス大学で心理学と脳科学を教えるビル・フデンコ博士を中心に、2017年に設立されたヘルスケアスタートアップ。72時間以内の自殺を、精神科医の診断と比較して94〜98%の確度で予見できるアプリ「Voi Detect」を開発した。
Voi Detectは、自殺の体系的専門リスク評価(SERAS)を含んだ評価を行い、アンケート、さらには行動上の健康状態を評価するための独自の手段を用いて、自殺リスクをスコアとして生成し、算定する。また、生成したスコアなどのデータを電子カルテとも同期させて、対象者のその後のケアにつなげることができる。同アプリはすでに医療機関や軍で自殺予防のために活用されているという。
これらのリスク評価には通常30分以上の時間と約200ドルの費用がかかるが、Voi Detectの導入で2分で調査結果を出すことができ、コストも抑えられる。米Voiは、これまでVCなどから1400万ドル調達し、2020年には2200万ドル調達する予定だ。
米Voiとフィンチジャパンの業務提携においては、フィンチジャパン独自の新規事業開発手法を用いて、Voi Detectの日本における展開を進める。日本市場での展開においては、フィンチジャパンの資本業務提携先であり、オンラインヘルスケアサービスを展開する企業、からだポータルとともに、医療分野での活用可能性を調査していく。
日本は、先進国の中で最も高い自殺率の国の1つであり、Voi Detectは日本において、労働者の健康管理プログラム、カウンセラーや医療関係者、人事部・管理職に活用されることが期待されている。フィンチジャパンは米Voiのパートナーとして、将来の日本法人設立も視野に入れつつ、事業を展開していくとしている。