パーソル総合研究所は、テレワーク時の生産性や、副業・兼業、転職などの意向、個人年収の変化、企業の採用計画、失業者・休業者の実態などに関する調査を実施。調査結果をまとめ、発表した。同調査は、新型コロナ感染拡大が雇用・労働にもたらした影響・実態を定量的に把握することを目的としている。調査期間は2020年11月18日~23日。
発表された調査結果について、同研究所は以下のように述べている。
①テレワークの生産性
職場に出勤したときの仕事の生産性を100%としたとき、テレワークしたときの生産性がどのくらいになるかを聞いたところ、全体平均で84.1%となり、職場への出勤時と比べてテレワークでは生産性低下を実感している結果となった。また、コロナ対策がきっかけで初めてテレワークを行ったという回答者の生産性は82.2%となったのに対して、以前からテレワークを行っていた回答者の生産性は89.4%と差がある。
②コロナ禍によるキャリア・就業意識の変化
コロナ禍により「副業・兼業を行いたい」思いが強まった人は28.3%。テレワーク頻度が高くなるほど、副業・兼業の意向も高くなる傾向が見られる。「テレワークできる会社・職種に転職したい」思いが強まった人は17.6%。
勤務先の都道府県別に、移住意向の思いが強まった割合を見ると、最も高いのは神奈川県で16.8%、2位は東京都で16.2%、3位は埼玉県で16.0%、4位は千葉県で15.6%、5位は大阪府で13.9%だった。
「専門性が高いスキルを身につけたい」思いが強まった人は30.9%と最も高く、「学び直しをしたい」も27.7%おり、コロナ禍によって仕事に対する不安や仕事以外の時間が増したことで、スキル向上や学習意欲向上の契機となったことが伺える。
③業界別の個人年収の変化
コロナ禍により「宿泊業、飲食サービス業」の個人年収は28.5万円減少と、すべての業界の中で最も下がる見通しとなった。コロナ禍の打撃が最も大きい業界であることが影響している。
④今後の採用計画
企業における今後(来年度・再来年度)の中途・新卒採用の計画を見ると、いずれも「減らす」が「増やす」を上回っている一方、5割程度の企業は今までどおりとなった。
⑤人員の過不足感
企業における人員の過不足感を見ると、従業員全体では「過剰」が9.1%、「不足」が52.5%と不足が大きく上回っている。しかし、中高年(40歳以上)の従業員については、「過剰」な人員になっているとの認識の割合が27.7%となり、「不足」の23.8%を上回った。職種別に見ると、事務系が「過剰」な人員になっているとの認識の割合は13.8%となり、他職種よりも顕著に多い。
⑥失業者の不安
コロナ禍の影響による失業者に「これから仕事が見つかるか不安」かどうかを聞いたところ、約8割が不安を抱えていた。
⑦休業者への会社からの補償
休業者に会社からの補償について聞いたところ、何も支払われていない人が14.7%いることが明らかとなった。賃金の全額が補償されている人は20.5%と5分の1にとどまった。