Linuxとの出会い
はじめまして。株式会社クレスコでITビジネススペシャリストをしている早坂といいます。最初に、私がどのようにLinuxと出会ったかをお話しします。
私が初めてPCを触ったのは1997年。大学入学後のことでした。それまではコンピュータといってもファミコンなどのゲーム機ぐらいしか触ったことがなく、PCについては右も左も分からない状態でした。PCを触るようになってからも、誰かに教わりながらきちんと学習したということはありません。当時はまだインターネットも十分に普及しておらず、唯一の情報源はPC雑誌[1]。その記事を見ながら真似てみる、あるいは新しいソフトを試してみるなど、手当たり次第にいろんなことをやってみて、体でコンピュータというものを覚えていきました。
でたらめなようですが、私はそれしか学ぶ方法を知りませんでした。そのため、うまくいかないことも多く、初期化してやり直すこともしょっちゅうでした。
自宅でPCを触る以外に、大学で情報系の学科に所属していた私は、授業でUNIXを触っていました。4年生になると、研究室で毎日のようにUNIXを触るようになります。確か、サン・マイクロシステムズ製の「SunOS」というUNIXだったと思います。ただし、毎日使っていたにもかかわらず、私はUNIXというものをよく分かっていませんでした。一方で、「UNIXを使いこなしたい!」という漠然とした思いだけはありました。キーボードを素早く叩きながら難しいコマンドを簡単そうに実行していく、いわゆるハッカーに憧れていたのでしょう。
問題は、自分が自由に使えるUNIXが持てなかったことでした。当時UNIXは高価で、自宅で簡単に使えるようなものではなかったのです。
そうして社会人になったころ、Linuxという、UNIXのようなOSがインターネット上で配布されていることを知りました。しかも無料で、PCにインストールして使えるといいます。これは使うしかないと思い、すぐに手を出しました。「これでサーバーを立てて情報発信をしたら、なんかすごいし、かっこいいじゃないか!」と、やや不純な気持ちもありましたが、そこから一気にLinuxにのめり込んでいきました。
注
[1]: 初めて買ったPC雑誌は『PCfan』(現:マイナビ出版 刊)でした。
LPICの3つの特徴
最初、Linuxはあくまで趣味という感覚でした。ところが、Linuxを学んでいく中で「この知識はいずれ仕事に役立つのではないか」と思うようになりました。そんな漠然とした思いを確信に近づけたのは、LPICの存在です。LPICを取得することで、Linuxのスキルを客観的に証明できるのではないかと。
……と書くともっともらしいのですが、当時はLPICを取得することに明確で高尚な理由は持っていませんでした。自分がやっていることを正当化するのに、たまたま知ったLPICが非常にマッチしていた、というだけだったと思います。
ただし今は、他の資格ではなくLPICを選ぶことのメリットや理由に確信を持っています。それは、LPICが次のような3つの特徴を備えているからです。
- 実践的である
- 受験のために学習した内容がそのまま現場で役に立ちやすく、無駄になりにくいです。つまり、資格保有しているということは、実務経験に近いスキルを保有しているともいえます。
- 汎用的である
- IT業界は分業化・専業化が進んでいるせいか、IT資格にも特定の製品に特化しているものが少なくありません。それはそれで意味がありますし、範囲が狭い分、認定する知識を深いレベルにすることができます。一方、LPICはLinuxの汎用的な知識を認定します。試験で想定しているディストリビューション[2]はありますが、特定製品に依存してはいません。どのディストリビューションを使うのであっても、LPIC取得のために身につけた知識は有効です。
- オープンである
- オープンソースの申し子ともいえる(と私はそう思っているのですが)Linuxを扱う資格・試験なのですから、学習環境もオープンであるべきですし、実際にそうなっています。Linuxは無料で入手できますし、学習教材として各種「標準教科書」がLPICの運営団体であるLPI-JapanのWebサイトで配布されています。
注
[2]: Linuxの配布パッケージのこと。Linuxとは狭義には「OSの中核機能を提供するプログラム」だけを指します。このプログラムのことを「カーネル」と呼びます。しかし、実際にPCにインストールして使用する場合、カーネルだけでは何もできません。各種のアプリケーションや、アプリケーションが利用する共通プログラム(ライブラリ)もインストールします。それらのソフトウェア一式をまとめたものがディストリビューションです。Linuxのディストリビューションには、Ubuntu、Red Hat Linux、Cent OS、Fedora、Debianなどがあります。