Indeed Japanは、企業の採用担当者を対象に、人材採用プロセスのオンライン化の実態やその成果について調査を実施した。調査期間は2021年3月8日~3月10日で、採用活動において権限を持つ414人から回答を得ている。
新型コロナウイルス感染拡大が企業の採用活動に与えた影響について調査。その結果、何らかの影響があった企業は企業全体の52.8%と半数以上に上った。企業規模別に見ると、大企業(従業員100名以上の企業)では81.4%、中小企業(従業員数99名以下の企業)では52.0%の結果となり、特に大企業における影響が大きかったことが分かった。
影響があった内容を尋ねたところ、企業全体では1位「求める人材の確保が難しくなった」が約4分の1にあたる23.3%、2位「応募者が減った」17.1%、3位「募集人数を減らした」9.3%。中小企業の1位〜3位も同じ結果となった。一方で、大企業においては、1位は「求める人材の確保が難しくなった」33.0%で企業全体の傾向と同じだが、2位は「募集人数を減らした」28.7%、3位は「人材採用プロセスや手法を見直し、変更した」24.5%という結果となった。
新型コロナウイルス感染拡大は多くの企業の採用活動に影響を与え、大企業においては、約4分の1の企業が人材採用プロセスを見直していたことが分かった。
次に、企業が人材採用プロセスの中で最もリソース(コスト、人、時間)を割いているものについても確認した。その結果、最もコスト(費用)をかけているのは「募集(自社HPや採用媒体等への掲載など)」で、企業全体の51.9%に上り、次いで「面接」が16.9%。さらに、最も人的リソースを割いているのは「面接」が最多で41.9%、次いで「募集」が21.9%。また、最も時間を割いているのも「面接」が最多で40.2%、次いで「募集」が21.8%。コスト・人・時間のいずれにおいても、6割以上の企業が「募集」か「面接」のいずれかに最もリソースをかけている。
また、人材採用プロセスのオンライン化を導入している企業の実態を調査。その結果、全ての人材採用プロセスをオンライン化しているのは企業全体の0.1%、一部をオンライン化しているのは61.1%で、合わせて61.2%の企業で人材採用のオンライン化を導入済みであることがわかった。また、今後オンライン化を取り入れようと考えている企業は15.8%で、予定も合わせると77.0%の企業が人材採用のオンライン化を進めていることが分かる。この傾向は特に大企業で顕著で、91.5%はすでにオンライン化を導入しており、予定も合わせると95.7%が人材採用のオンライン化を進めている。
さらに、人材採用プロセスにおけるどのフローでオンライン化が進んでいるのかを尋ねたところ、オンライン化が最も進んでいるフローは「募集」で、完全オンライン化、リアルとオンラインの併用を合わせて46.8%の企業でオンライン化を導入していた。大企業では78.7%にあたる。次いで「求職者の応募」「応募者の情報管理」「採用プロセスの進行・ステータス管理」の順でオンライン化が進んでいることが分かった。いずれも、中小企業よりも大企業で進んでいるもようだ。
人材採用プロセスをオンライン化したきっかけについて尋ねると、企業全体の29.0%、大企業の52.4%、中小企業の28.1%が「新型コロナウイルスの感染予防」と回答した。新型コロナウイルス感染対策や人材採用プロセスの効率化(リソースの削減)のためにオンライン化を導入する企業が多いようだ。また、大企業では便利なツールなどの増加が、採用のオンライン化導入のきっかけになっている割合が高いことも分かった。
人材採用プロセスのオンライン化を進める上での課題について、何らかのオンライン化を取り入れている企業に確認すると、「オンライン面接のみでは適切な選考が難しい」が最も多く、企業全体の49.4%となった。2番目に多かったのは「オンライン採用を適切に運用するノウハウがない」で企業全体の22.5%だが、1位の半分以下の割合となった。採用のオンライン化導入・促進に向けては、「オンライン面接」が重要なポイントとなっている。
人材採用プロセスオンライン化の成果について、オンライン化を進めている企業の75.9%が何らかの成果があったことが分かった。最も成果があった内容を尋ねたところ、「応募者の増加」が13.6%で最多。次いで「人材採用にかかる時間の削減」12.1%、「人材採用にかかる費用の削減」10.8%、「人材採用にかかる労力(人的リソース)の削減」10.4%とリソースの削減についての回答が続いた。