One dayは、自社が運営する「Direct Connect」で新たに“お試し転職オファー機能”をリリースした。AIが推薦する優秀なIT人材に対し、まず1か月間の副業という形での「お試し転職」を1クリックでオファーできる。求職者を観察してから採用できるため、ミスマッチ採用リスクを抑えられる。
マイナビが2021年に発表した「中途採用状況調査2021年版」によれば、2020年において中途社員採用に結びついた募集方法としては、人材紹介会社経由が4.1人(前年比1.0人)と全体の2位となり、1位の転職サイト経由とともに一般的な採用手法となっている。しかし、現場部署と求職者の間に人事担当者・人材紹介会社が挟まれることで、求職者・求人のリアルな情報が互いに見えず、両者のミスマッチ発生、または人材紹介会社に情報が独占されることで、無駄な工数がかかってしまう可能性がある。実際、アスタミューゼが2020年に発表した調査によると、転職者のうち、転職カウンセラーに「不満足」と回答したのは全体の78%にも上る。現状の転職活動の構造において、現場部署と求職者の距離が遠いことに問題があると同社は考えているという。
また、内閣府が2017年に実施した「就労等に関する若者の意識調査」によれば、離職の重要な理由として「職場や仕事内容が合わない」「人間関係の不満」「結婚や子育て」「労働時間、休日、休暇の条件に不満」の4つが挙げられている。思い描いていた職場環境・業務内容とのギャップや、上司・同僚と合わないなどといった人間関係の不満から退職する求職者は多く、一般的な面接を繰り返す採用手法のみでは、上記の解決には至らない。そのため、入社する前に事前にこの会社で成果が出せるコンピテンシーを持っているのか、相性が良いのかなどの転職希望者の内面的な情報を収集することが重要となってくる。また「転職希望者が持っている情報」と「抱いているイメージ」と「会社の実態」を早めにすりあわせることがミスマッチを防ぐ第一歩となっている。
労働政策研究・研修機構が2019年に発表したデータでは、日本における雇用者の平均勤続年数は12.1年となり、先進国のアメリカの4.2年と比べてかなり長く、人材流動性の低さが挙げられる。その一方で、現在副業をしていないものの、今後してみたいと希望している人の割合が32.6%と、約3人に1人が副業を希望している。希望理由としても「新しい経験を得るため」が22.0%と高く、社会情勢的にも、自身のキャリア向上のために副業を希望する層が一定数存在する。これにより、数回の面接や職務経歴書では判断できないスキル面・人間性、カルチャーフィットの度合いを確認でき、採用した人材に感じるネガティブなギャップが削減できる。さらに、求職者側には最初から転職よりもリスクが下がるため、優秀層の人材流動性が高まり、今まで声がけする余地のなかった人材に対してもアプローチの機会を提供することが可能となる。