自力で成り上がる――未経験から半年後にLPICレベル3取得
――みなさん、CCNAとLPICを取得していますね。いつごろ取得されたのですか?
戸松:私は勤勉ではなかったので(笑)、同期が研修期間中に資格を取得するのを横目に焦りつつも、自分は何も取得できないままお客様先に就業しました。ただ、初心者の私に任されるのはもちろん技術的にも初歩的なこと。もっとSEらしいことをしたいと思い、弊社の営業担当者に「他の現場に移りたい」と希望を伝えました。そうしたら「今のままではどこの現場に行っても同じだよ」と言われたんです。
「じゃあ、どうしたらいいんですか」と質問したら、「任せてみよう、と思わせるくらいのやる気を形にして見せないと」と。でも、今の自分にできることといえば、資格を取るくらいしかない。よし、資格を取ってアピールしようと、そこからようやく資格取得に動き出しました。目指したのは、研修を受けたサーバーの資格ということでLPICのレベル1からレベル3までの取得。毎月1試験に合格していくことを目標に猛勉強です。レベル2とレベル3には手こずりましたけど、何とか約半年でLPICレベル3まで取得できました。
――未経験から半年でLPICレベル3取得ですか! すごいですね。
戸松:もともと「自分次第で成り上がれる」と思って転職したので、それを体現してやろうと。実は、同期のサーバー組は就業まで誰も資格を取っていないという環境で……私も含め、みんな研修を受けただけの状態で就業していきました。一方で、中尾がいた同期のネットワーク組には資格取得を目指す人がけっこういて、競争し切磋琢磨している様子でした。実際に次々と資格取得者が出ていて、出遅れた感はありましたね。
中尾:といっても、資格の取得を勧められることはあるのですが、「いつまでにこの資格を取りなさい」と強制されることはないんです。あくまで資格は自発的に取るものという感じでした。
――中尾さんが最初に取得されたのはCCNA(Routing & Switching)ですよね。弊社でもCCNAの学習書を刊行していますが、ICND1とICND2[2]の2冊を合わせるとこんな厚さ(約6.4センチメートル)じゃないですか。どれくらいで取得されたのですか?
中尾:研修を終えてから3か月弱でCCNAを取得しました。2か月間の研修のうち、ICND1(CCENT)の範囲を最初の1か月間で、残りの1か月間でICND2の範囲を学んでいたんです。その間に実機を触ることもできたので、その後に1人で試験に向けて勉強するときにも、学習内容をイメージしやすかったですね。そうしたベースがあったからこそ、勉強はスムーズに捗ったかなと思います。そのまま勉強を続けて、それから1か月ほど後にはCCNP(Routing & Switching)も取得しました。
研修後に就業した先の案件は他に比べて残業が少なく、時間的な余裕があったことが幸いしたかもしれません。また、VSN入社時に「とにかく3年間はしっかり勉強したほうがいい」と弊社の役員に声をかけてもらったことや、自分でもここでしっかりやろうと最初から決めていたことも、取得の強い動機になりました。スタートダッシュをかけたかったんです。
――それにしても、未経験から半年でCCNP取得は相当早いですよ。最近、VCP(VMware Certified Profrssional)資格も取得されたんですよね。
中尾:今年[3]の夏に取得しました。ただ、VMwareに興味はありましたが、業務で扱っているわけではありませんでした。きっかけは、VCP取得に受講が必要な講義を、弊社で割安で受けさせてもらったことですね。それでも気軽に払える額ではありませんが、弊社は資格取得の報奨金制度が充実していて、合格した場合は報奨金で受験費用をまかなえるんです。そこで受けてみようと思いました。
そうして取得してみたら、9月末から現在も関わっている案件で、ネットワークだけでなくVMwareを扱う仕事も出てきまして。試験勉強がとても役に立っています。
――梅本さんのLPIC資格はいつ取得されたのですか?
梅本:LPICレベル1の101試験には、入社前にセミナーを受講している間に合格しました。それから、入社してすぐに102試験に合格しました。レベル2は入社2か月半後に取得しました。ですが、レベル2はぼろぼろで、202試験は一度不合格になってしまったんです。周囲からも「なぜ落ちたの?!」と驚かれるほどで、かなりショックを受けました。
敗因は、予想問題を暗記することに専念してしまったことです。試験勉強を通して、本来身に付けるべき知識が身に付いていませんでした。大丈夫だろうとタカをくくっていたんですね。不合格になったその日から総復習というか、アズキ本と白本[4]を使って一からノートを取り始めました。1週間後には202試験を再受験して、ぎりぎりでしたが合格できました。
――よく不合格から1週間で合格できましたね。なぜそんなに急いで資格を取得していったのですか?
梅本:24歳で入社した私は、新卒者よりスタートが2年遅れているわけですから、それに追いつかねばと猛勉強をしました。講師からも励ましと発破を掛けられることはあるのですが(笑)、取り組みはあくまで自発的です。それから、マイクロソフトのMCSA(Windows Server 2008 R2)資格とOSS-DB Silver資格も、1年ほど前に取得しました。Windows Serverは実務で使っているのですが、実はデータベースは扱ってません。それならなぜOSS-DBを取得したのかというと、入社して間もないこともあり、とにかく幅広い知識を身に付けたかったからでした。
戸松:そういえば私も、広く基礎的な知識を身に付けようと、LPIC取得に向けた挑戦を始める3か月ほど前、先にITILを取得しました。配属された現場がデータセンターの運用請負だったのですが、「運用について体系的な知識を得るならITILです!」という紹介を受けたんです。それならとまずITILの取得を目指しました。
LPICを取得する上で幸運だったのは、配属先の現場で、1人1台自由に扱えるサーバーが与えられていたことですね。そこにCentOSを入れて勉強しました。勉強する環境としてはとても恵まれていたといえます(笑)。
――それからCCNAを取得されたんですよね。
戸松:ええ、せっかくやる気に火が点いたし、サーバーもネットワークも両方対応できれば、ITエンジニアとしての強みになるだろうなと思ったんです。すると、意外とスムーズにCCNAに合格できたので、「これだけだとアピールポイントにならないかもしれない」と、もう1つ上のCCNPに引き続き挑戦して、取得しました。
注
[2]: CCNA Routing & Switching資格を取得するには、ICND1とICND2の2試験に合格する必要がある。ちなみに、弊社からはLPICの学習書(通称:アズキ本)も刊行しているが、レベル1からレベル3(300試験)までの厚さの合計は約9センチメートルになる。
[3]: 本稿のインタビューは2016年12月に行った。
[4]: アズキ本は翔泳社が刊行している『Linux教科書 LPICレベル1』など一連のLPIC学習書の愛称。また、白本は『Linux教科書 LPICレベル1 スピードマスター問題集』(翔泳社刊)をはじめとする問題集シリーズの愛称。どちらの愛称も表紙の色から取られている。