人材紹介事業を展開するジェイ エイ シー リクルートメントは、2021年第3四半期のミドル・管理職・スペシャリスト人材の採用マーケット動向をまとめて発表した。なお、日本国内の年収下限600万円以上の求人を対象としている。
2021年7~9月の求人動向は、2020年4月から8月まで続いた欧米系外資系企業の求人低調からの反動を受け、大多数の職種において前年同期比で大きく回復した。各企業は積極的な採用姿勢を見せていることから、次の成長基盤を整える姿勢であることがうかがえる。
職種別の動向は次のとおり。
ライフサイエンス系専門職(医薬品・医療機器):33%増
同職種は景気変動やコロナ禍の影響を受けにくく、高い専門性を持つ人材ニーズは継続的に増加傾向となり、前年同期比で33%増、コロナ前の2019年の同期比でも25%増と高いニーズを維持している。中でも、社会的な新種の医薬品への需要増の影響を受け、創薬、臨床開発、薬事、販売後調査といった開発~市場への展開に携わる人材ニーズが堅調に増えている(同職種には医療施設勤務の医師・看護師などの医療施設系の求人は含んでいない)。
(求人の平均年収:805万円~1180万円)
人事・労務系専門職:31%増
前年同期(2020年7~9月期)は人事労務系のポジションの求人の回復が鈍く、その反動もあり大幅に増加した。専門性の高いポジションの求人を外部に出す傾向が強い外資系では、前年同期(2020年7~9月)に海外本国のコロナ禍の影響を受け求人が低迷したことにより、その反動を受けた影響により求人が増加した。求人の内訳は、主に外資系企業に多いHRBP(HR Business Partner:人事観点と事業観点の両面で事業成長を支援する部門)、さらに人事制度設計、組織開発、研修などのポジションの求人が新型コロナ前の水準まで戻った。
(求人の平均年収:791万円~1135万円)
マーケティング系専門職:30%増
同職種の求人は、コロナ前の2019年の同時期と同等の水準まで回復した。この背景には、プロダクトマネージャー、ブランドマネージャー、PRといった、マーケティング系の専門職種を外部から高給で採用する傾向のある外資系で採用意欲が回復したこと、ライフサイエンス系のプロダクトマネジメント等のマーケティング関連職種がコロナ前を超えて伸びていることなどがある。
(求人の平均年収:841万円~1235万円)
建築・土木分野系専門職:11%減
特に建築分野においては、すでにコロナ後の求人の回復が一巡したことに増加まで至らず、前年同期比でも11%減と新規求人数はやや低下した。ただし、専門技術者の高齢化と再生可能エネルギー開発・保守などの長期傾向により求人需要トレンドは根強い分野である。
(求人の平均年収:676万円~977万円)
法務・知財系専門職:20%減
守りのポジションであるバックオフィスの専門職全般の数字が低めである中で、主に特許、商標などの知財系のポジションの低迷により新規求人数が減少した。また、知財のポジションに関しては事業や技術の理解がある社内の人材が配置されるケースが多いことも求人数減少の理由として挙げられる。
(求人の平均年収:832万円~1232万円)