テレワーク成功のカギ「テキストコミュニケーション力」を高めよう
実際のところ、どの程度の割合の人がテレワークでのコミュニケーションに壁を感じているのでしょうか。日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボが2021年4月に行った「働き方改革に関する動向・意識調査」によると、テレワークを利用する際に不便・不安と感じる点や阻害要因として最も多かった回答は「同僚(上司や部下を含む)とのコミュニケーションに支障がある」で48.9%でした。約半数の人が社内でのやりとりに課題を感じているようです。
その原因の一つとして考えられるのが「テキストコミュニケーションの難しさ」です。
テレワークになって、ビジネスチャットツールなどを使ったテキストでのコミュニケーションが増えたという方も多いと思います。皆がオフィスに出社し、顔を合わせていれば「これってどうなってる?」「ここのデータをバーンとカッコよく作っておいて!」といった、ふわっとしたやり取りでも、空気感で伝わることもあるでしょう。しかし、テキストコミュニケーションでは伝え方が雑だと仕事が進まないばかりか、ミスが発生することもあります。マネージャーであれば、メンバーからの信頼が低下するおそれすらあります。
また、言葉選びにも慎重になるべきです。メールでも痛感されているかもしれませんが、テキストコミュニケーションでは、どうしてもきつく伝わりがちです。テキストコミュニケーションを円滑にするためには、(特にマネージャーの方は)次のような配慮をするとよいでしょう。
今からできるテキストコミュニケーションの配慮3選
◆一言追加する
- ✕:了解
- 〇:了解!ありがとう!/了解しました、助かります!
もう一言あるかどうかで、受け取る側の印象が変わってきます。用を済ませるだけでなく、一言付け加えましょう。
◆褒めてから指摘する
- ✕:●●の数字がおかしいから直しておいて。
- 〇:××さんの▲▲の仕事、すごくよかったですよ! 1点だけ確認したいことがあります。●●の数字だけど、少し間違っているかもしれないので、見直しておいてもらえるかな。
上司がテキストメッセージで淡々と指摘だけすると、部下の目には攻撃的に映り、その結果として心理的安全性がなくなります。指摘したいときほど「褒める部分を褒めてから指摘する」ことを大事にしましょう。
◆カモを付ける
- ✕:報告書の数字、間違っています。
- 〇:報告書の数字、間違っているかも。
何か指摘をするときに、文尾に「カモ」を付けるだけでとても柔らかくなります。
このような少しの配慮で相手への伝わり方が変わり、コミュニケーションが円滑になって、信頼関係を構築できます。
言葉に温かみを持たせましょう
私が所属するニットも、フルリモートで事業を運営していく中で、テキストコミュニケーションはカギだと捉えています。
ニットでは、日本全国・世界33か国にいる400名のメンバーがテレワークで働いています。時差の関係もあり、仕事をする時間はバラバラなので、テキストコミュニケーションが中心です。そのため「相手に分かりやすく伝えるには、どんな文章が適切か」を常に意識しています。過不足なく正確に情報を伝えることはもちろんのこと、人としての「温かみ」を届けることも重要です。相手に冷たい印象を与えがちなテキストのやりとりでは、この温かみを意識することこそ、良い関係を築く上で不可欠だと考えます。
温かみを届けるためには、相手に対する賞賛や感謝の気持ちをきちんと言葉にすることが重要です。相手に伝わらない「思い」は、最初からないも同然でしょう。だからこそ、思ったことをきちんと言葉にして相手に伝えることを日頃から大事にしています。
一方で、何気ない言葉が相手を傷つけてしまうことも忘れてはなりません。特に、なかなか関係を修復しにくいテレワークにおいては、その意識を強く持つ必要があるでしょう。
以下は、私が普段から気を付けていることです。
言葉を使用する際に気を付けていること
- 選定するワード
- 文のテンポ(抑揚、緩急など)
- 相手に伝えるタイミング
+
- 伝えるときの思いの強さ
言葉は鋭く冷たい刃にもなり、包み込むような温かい衣にもなります。いつも言葉に体温を、愛を持たせられる人でいられたらと思います。