テレワーク導入は企業課題
総務省「労働力調査 2020年(令和2年)」の資料(PDF)によると、労働力人口は、2020年平均で前年に比べ、18万人の減少(8年ぶりの減少)となりました。また、内閣府も労働力人口は2014年の6587万人から2030年には5683万人、2060年には3795万人へと加速度的に減少していくと指摘しています。
労働力人口の減少の影響を抑えていくためには、「女性」「シニア」「若手」「外国人」「地方在住者」「体が不自由な人」など、全ての人が働きやすい環境をつくっていくことが必要でしょう。このとき、「テレワーク」の導入はその一つの手段となり得ます。私たちニットも「多くの人がテレワークで働けたら、様々な理由でキャリアを諦めなくもいい」という理念の下、メンバー全員がテレワークというスタイルで運営してきました。
また、今回流行した新型コロナウイルスだけではなく、地震、津波、大雨、大雪などの自然災害や事故、停電など発生した場合、やはり会社に出社することが難しくなり、企業活動が停滞してしまうことが想定されます。そのような場合のBCP対策[1]としても、テレワークは非常に有効な手段になります。
これらの点から、テレワークの導入・定着は、今後の重要な企業課題といってよいと思います。
注
[1]: 予測不能な緊急事態が発生した際にもビジネスを継続するために取る施策。
テレワークは概ね定着の方向へ
では、世の中ではどれほどテレワークが実施されているのでしょうか。総務省「令和3年 情報通信白書」によれば、民間企業におけるテレワークの実施状況は、2020年5月ごろに大企業で80%、中小企業でも50%をそれぞれ超えました。もちろん、新型コロナウイルスの感染拡大の影響です。それをピークに減少したものの、2021年3月初旬でも大企業の70%近く、中小企業の30%以上がテレワークを実施しています。
また今回、Twitter上で、新型コロナウイルスの終息後の働き方についてアンケートを取ってみました。「コロナが終息した後は、どんな働き方が良いですか?」と尋ねたところ、「基本、リモートワーク」「時と場合によってリモートワーク」と回答した人の合計が80.1%を占めました。コロナ禍が終息した後でも、8割の人たちがテレワークをしたいというわけです。緊急事態宣言をきっかけに、個人の働き方の意識が大きく変わってきたのではないかと思います。
一方で、テレワークが可能だとしても、「テレワークを導入し、生産性が下がった」などの理由から、それを選ばない企業もあるでしょう。緊急事態宣言が全国的に解除されたことで、オフィスへ出勤する人の波が戻り始めたとも聞きます。
それに、そもそもテレワークでは成り立たない業務も少なからずあります(ものづくりや対人サービスの現場など)。現実的には、会社としてテレワーク推奨を宣言した上で、テレワークが可能な業務に就いている人について、本人がテレワークするかしないかを選択するというパターンが最も多くなるように考えます。