意外に「穴」な文字列演算子の問題
今度は、SELECT文において「こんなこともできるのか」という問題に挑戦してみましょう。
問3
emp表のename列は社員の氏名です。次のように表できるSQL文はどれですか?
I'm King.
-
a. SELECT q'[I'm ]'|| ename || '.'
FROM emp
WHERE ename = 'KING'; -
b. SELECT q'{I'm }'|| ename || '.'
FROM emp
WHERE ename = 'KING'; -
c. SELECT q''I'm ''|| ename || '.'
FROM emp
WHERE ename = 'KING'; -
d. SELECT q'ZI'm Z'|| ename || '.'
FROM emp
WHERE ename = 'KING'; -
e. SELECT q'(I'm )'|| ename || '.'
FROM emp
WHERE ename = 'KING';
正解は、次の実行例のとおり、a、b、c、d、e全部です。実際の試験で、選択肢すべてが正解というのはないと思いますので、それはこの連載だけのお愛嬌だと思ってください。
SQL> -- a
SQL> SELECT q'[I'm ]'|| ename || '.'
2 FROM emp
3 WHERE ename = 'KING';
Q'[I'M]'||ENAME
---------------
I'm KING..
SQL> -- b
SQL> SELECT q'{I'm }'|| ename || '.'
2 FROM emp
3 WHERE ename = 'KING';
Q'{I'M}'||ENAME
---------------
I'm KING.
SQL> -- c
SQL> SELECT q''I'm ''|| ename || '.'
2 FROM emp
3 WHERE ename = 'KING';
Q''I'M''||ENAME
---------------
I'm KING.
SQL> -- d
SQL> SELECT q'ZI'm Z'|| ename || '.'
2 FROM emp
3 WHERE ename = 'KING';
Q'ZI'MZ'||ENAME
---------------
I'm KING.
SQL> -- e
SQL> SELECT q'(I'm )'|| ename || '.'
2 FROM emp
3 WHERE ename = 'KING';
Q'(I'M)'||ENAME
---------------
I'm KING.
通常、シングルクォーテーション(')で囲むと、文字リテラルまたは日付リテラルとみなされます。 今回のように「このシングルクォーテーションは、リテラル(定数)を囲むためのものではなく、値として扱いたいんだよ!」という場合には、次のようにエスケープシーケンスとして、シングルクォーテーションを追加します。これにより、エスケープシーケンスの後ろにあるシングルクォーテーションは、リテラルとみなされます。
SQL> SELECT 'I''m '|| ename || '.' 2 FROM emp 3 WHERE ename = 'KING'; 'I''M'||ENAME|| --------------- I'm KING.
でも、後からこのSQL文をメンテナンスする人の立場に立つと、読みづらくないですか? そこで代替え引用符(q)演算子を使うというのが、先ほどの出題で問うていることです。
qの後ろの[]の間にあるものをすべてリテラルとして扱います。 リテラルの範囲を示すものには、[]以外に、{}、()、<>などの対の記号やシングルバイト文字を使用することもできます。 選択肢dのように「Z」という文字列を使うとわかりづらいでしょうから、他の選択肢のように対の記号を使用するのが、実務的には良いでしょうね。
では、今回は次で終わりにしましょう。
問4
次のSQL文の結果として正しいものを選びなさい。
SELECT ename FROM emp WHERE UPPER(ename) BETWEEN 'A' AND 'B';
- a. ADAMS、ALLEN、BLAKEは表示されるが、CLARKは表示されない。
- b. ADAMS、ALLEN、CLARKは表示されるが、BLAKEは表示されない。
- c. ADAMS、ALLENは表示されるが、BLAKE、CLARKは表示されない。
- d. だれも表示されない
次の実行例のとおり、正解はcです。
SQL> SELECT ename FROM emp 2 WHERE UPPER(ename) BETWEEN 'A' AND 'B'; ENAME ---------- ALLEN ADAMS
学生時代に学ぶ内容は少しずつ変わっており、最近は、2進数や16進数も習わないとか忘れたとか。 文字コードなんていっても「ふ〜ん」だと思います。
「名前(ename)は1文字じゃないでしょ? 1文字以上の文字列なのに、AだけとかBだけとか範囲にはいらないでしょう?」と悩んだ方も多いと思います。 UPPER(ename) BETWEEN 'A' AND 'B'は、enameがAで始まれば何文字以上でも範囲に含まれますが、Bで始まる名前はB1文字なら範囲内ですが、Bで始まる複数の文字は該当しません。
ここでは、文字コード云々という話はしませんので、気になる方は、なぜ、選択肢cが正解なのか、身近な先輩に尋ねてみてください。

