インターネット層のプロトコル(1):IP
ここからは、TCP/IPのインターネット層に含まれる3つのプロトコルについて、もう少し詳しく解説します。最初はIPからです。
IPの役割
IP(Internet Protocol)の役割は、エンドツーエンド通信を行うことです。IPは「TCP/IP」というネットワークアーキテクチャの名前の中に含まれていることからもわかるように、TCP/IPの中核となるとても重要なプロトコルです。
IPによってホスト間で何らかのデータをやり取りするために、送信するデータの先頭には送信元IPアドレスや宛先IPアドレスなどを記したIPヘッダ(後述)を付加します。IPヘッダとデータ部分を合わせた全体を、一般的にIPパケットと呼んでいます。
エンドツーエンド通信では、送信元ホストと宛先ホストが異なるネットワークに接続されている場合があるため[8]、ネットワーク間をつなぐ仕組みも必要です。そのための機器が、インターネット層の説明にも出てきたルータです。送信元ホストから送信されたIPパケットは、経路上のルータが転送して、最終的な宛先ホストまで送り届けられます。ルータがIPパケットを転送することを指してルーティングと呼びます[9]。
注
[8]: エンドツーエンド通信は、同じネットワーク内に接続されているホスト間の通信も含んでいます。
[9]: ルーティングについては、本連載の後の回で詳しく解説します。
IPヘッダフォーマット
IPヘッダのフォーマットは次のとおりです。
IPヘッダ内で一番重要な情報は、送信元IPアドレスと宛先IPアドレスです。CCENT試験ではIPヘッダ内にある1つ1つの要素を覚える必要はありませんが、TCP/IPで通信するときにはIPアドレスを必ず指定しているということを忘れないでください。
ユーザにはIPアドレスを意識させない
アプリケーションなどでは、ユーザにIPアドレスを指定していることを意識させないようになっています。IPアドレスは数字の羅列なので、ユーザにはわかりづらいためです。Webブラウザやメールソフトなどでは、ユーザは宛先IPアドレスを指定しなくて済むようにしています(代わりにURLやメールアドレスを入力してもらう)。
しかし、それは表向き(ユーザに対して)だけで、通信するにはIPアドレスの指定が必要です。ユーザにIPアドレスを意識させず、IPアドレスを指定できるようにする仕組みの1つがDNSです。DNSは、URLやメールアドレスからIPアドレスを教えてくれます。DNSにIPアドレスを尋ねるときにはDNSプロトコルを使用します。