ITサービスマネジメント(ITSM)とは、ITの利活用をサービスとして提供するITサービスを、PDCAサイクルに基づいて管理し、組織的にITサービスの品質を確保・改善していくこと。その仕組みをITサービスマネジメントシステム(ITSMS)とも呼ぶ。
EXINのITSM認定資格プログラムは、企業として何からITSMに取り組むべきかといった、実践的なアプローチを習得していることを認定するもの。認定基準として、ITサービスを提供する組織のITSMが適切かどうかを評価する国際標準規格「ISO/IEC20000」を参照している。
EXINが提供するITSM認定資格プログラムの体系は次図のとおり。基礎レベルのファンデーション、プロフェッショナルレベルのスペシャリスト、さらに上位資格となるエキスパート、最上位資格のマスターがある。
これらのうち、ITSMスペシャリスト試験の日本語版が3月に開始された。同試験では、ITSMを提供する際の計画立案や管理、測定、モニタリング、報告、改善などが問われる。
試験受験のための前提条件は次のとおり。
- ISO/IEC20000準拠ITSMのファンデーション認定
- EXIN認定教育事業者によるISO/IEC20000準拠ITサービスマネジメント スペシャリストの研修コースの受講
- EXIN認定教育事業者により評価を受けた実践課題の完了
なお、日本語試験は、現在ePlugOneが提供するこちらの研修コース内で受験することが可能だ。
ITILとITSM(ISO/IEC20000、JIS Q 20000シリーズ)
ITSMには、ベストプラクティス集として「ITIL(Information Technology Infrastructure Library)」が存在している。このITILはITSMを提供するためのガイドラインとして作成された。そのため、ITILを実際に企業で適用する場合、導入したいプロセスや内容などを取捨選択でき、部分的なITILの適用も可能だ。
一方、EXINのITSM認定資格プログラムが参照するISO/IEC20000は、ITILのベストプラクティスを実践し、達成するためのフレームワーク。国際標準規格なので、第三者認証機関による審査が必須となり、構築したITSMの仕組みが適切であることを説明する必要がある。ITILのような選択の自由がないかわりに、第三者による認証を受けることで、ITSMのレベルを一定に保っていることをアピールできる。
ISO/IEC20000は、BSI(英国規格協会)が規格化したBS15000をベースとしている。BS15000は、組織が効果的かつ効率的に管理されたITサービスを実施するためのフレームワークと評価仕様が示されており、後にISO(国際標準化機構)により、BS15000をベースとしたISO/IEC20000が策定されたという経緯がある。なお、日本国内では「JIS Q 20000シリーズ」として規格化されている。