ビズリーチは、社員に向けた「社内スカウト」を可能にし、人材流出を防ぐ新サービス「社内版ビズリーチ byHRMOS」を提供開始した。
同サービスは、ビズリーチで蓄積されたデータを学習した生成AIを搭載し、社内レジュメや社内ポジション要件の自動生成、高精度な人材検索とレコメンデーションを通じて、社内人材と社内ポジションのマッチングを実現。これにより、これまで難しかった各ポジションに最適な人材の発見・アサインを可能にする。社員も自分にマッチしたポジションに就ける機会が増え、社外に活躍の場を求める必要が減るため、結果として人材流出を抑えられる。
同サービスでは、具体的には以下のような機能を提供するという。
転職市場基準の「社内レジュメ」と「社内ポジション要件」を自動生成
社内にある職務経歴書や目標評価などの社員データに対し、生成AIを用いて、社員の数年分にわたる成果や経験を数分で「社内レジュメ」として文章化。入社前の職務経歴・入社後の異動歴、目標や実績などから、社員のキャリアサマリや保有スキルをレジュメの形式で書き出す。
また「社内ポジション要件」としてポジション名・職種・スキルを入力することで、ポジション要件を自動で言語化して提案。「この社員のポジション要件を言語化したい」というニーズにも対応しており、特定社員の職務経歴データや保有スキルをもとにポジション要件を作成することが可能。
「社内レジュメ」「社内ポジション要件」ともに、ビズリーチのノウハウを活用しているため、各企業独自のスキルや表現に偏らず、転職市場で求められる基準に合った内容を自動的に作成できる。
社内人材と社内ポジションのデータベースの構築・維持を容易に実現
社内人材と社内ポジションのデータベースを構築することで、ポジションの充足状況をモニタリングし、最適な人材をスピーディーに配置・アサインできる。ポジションごとの管理のほか、部署や職種、役職といった単位での可視化や要員管理をシステム内で実現する。
また、専任担当者がデータベースの構築・運用に伴走し、各社の課題や要望に寄り添った支援を行う。
社内公募や社内でのダイレクトリクルーティングを活性化し、これまでになかった社内の人材マッチングを実現
人事や部門は「データ分析に強い人」「Aさんみたいな人」のような自然な言葉と特徴の近さから、マッチする社員を検索可能。条件に合致する社員を一覧化し、マッチ度とともに、マッチするスキルやポイントなどを社員別に表示する。データベースに蓄積されたキャリアプランや在籍年数、等級などで絞り込みもできるため、精度の高い人材の抽出・発掘を行える。
ポジションを起点とした候補人材の自動抽出も可能なため、候補社員には社内スカウトを送りマッチングにつなげることができる。
また、社員は公開されている社内ポジションを閲覧し、応募もしくは「興味あり」という意思表示ができる。人事や部門はその通知から、マッチングや社内スカウトにつなげられる。
ビズリーチを傘下に置く持株会社ビジョナルで代表取締役社長を務める南壮一郎氏は、顧客の声を聞いていく中で「人材流出」という課題を多くの企業が抱えていることに気づいたといい、社内版ビズリーチ byHRMOSの開発・提供は、この課題の解決に向き合うものだと説明。特に機能のカギとなっているAIは、2023年8月~2024年7月における生成AI関連特許公開数24件は国内企業でトップであることを示すなど、いかに注力してきたかを強調した。
ビズリーチ 代表取締役社長の酒井哲也氏は、社外人材には魅力的なスカウトを送る一方で、社員にはそれほど寄り添えておらず、社員にも社外人材と同様に魅力的なスカウトを送る必要があると指摘。社内版ビズリーチ byHRMOSを通じて同社が実現することを述べた。また、同社のサービスならではの強みとして「16年間培ってきた転職市場データと生成AIの連動」「社内レジュメ・社内ポジションの自動生成」「検索とレコメンド」の3つを挙げた。
なお、社内版ビズリーチ byHRMOSにはキリンをはじめ15社ほどの先行利用企業があるという。導入は3年で1000社を目指す。
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