「情報の発信と収集」「集計・レポーティング」での活用事例
本節では、「情報の発信と収集」「集計・レポーティング」における代表的な3つの活用事例を紹介します。各事例に関して、どのようにシステムを活用できるかを挙げ、それから具体的な成果を説明します。
事例1では「情報発信と情報収集」「集計・レポーティング」の両方にかかる人事業務として人事評価を取り上げます。事例2では「情報発信と情報収集」の業務として、社員へのアラート通知の自動化の事例を取り上げます。事例3では「集計・レポーティング」の業務として、年次報告の集計の効率化事例を取り上げます。
事例1|人事評価での活用
多くの企業で、人事評価は手間がかかる業務の1つです。紙やExcelの評価表で人事評価を行っている場合、評価表をメールなどで配布・回収するといった業務が発生します。メールでの配布・回収の場合、誰が未入力なのか、どの承認段階で止まっているのかといった進捗が分からず、確認や催促の連絡に時間を取られてしまいます。また、評価調整に使う資料を作成するために、社員ごとのExcelの評価表から評価結果を抽出して一覧化するマクロを作成し対応しているような場合、社員が勝手にシートに行や列を追加するとうまく集計できなくなるといった例もあります。
これに対し、タレントマネジメントシステムで評価運用を構築すると、評価の入力状況や承認状況が可視化され、未入力者へのリマインドも自動で実行できます。評価結果はシステム上で集約されるほか、あらかじめ設定した分布に沿ったランク付けや、昇給シミュレーションまで実現できるシステムもあります。
A社ではこれまで、評価のたびに10種類以上のExcel評価シートをメールでやり取りし、人事で集約した後、管理職が人件費を確認しながら昇給案をまとめていました。評価の進捗状況を人事側で把握することは困難だったため、管理職に取りまとめもらっていました。そのため、評価の時期になると管理職が通常業務に取り組めなくなる状況でした。
ここにタレントマネジメントシステムを導入し、承認状況を可視化してシステムから未提出者にリマインドを送れるようにしたところ、管理職による評価表のとりまとめ業務が不要になりました。また、システムで評価結果を集約・一覧化でき、人事側での評価結果の集約も不要になりました。人事評価に関する膨大な作業がなくなったことで、人事・管理職ともに「処遇の調整や評価を踏まえた人材育成の議論」に集中できるようになっています。