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特別寄稿《人材採用》| 新卒採用・中途採用の変化

AI時代本格到来で生じる「新卒採用」のパラダイムシフト 基準は「批判的思考力と学習アジリティ」へ

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 生成AIの進化が、ビジネスの風景を根底から塗り替えようとしています。米スタンフォード大学の最新研究は、AIの影響を受けやすい職種において、若手労働者の雇用が顕著に減少していることを明らかにしました(※)。これは、これまで若手の登竜門とされてきた定型的な知的労働が、AIによって代替され始めたことの証左に他ならず、企業が求める人材の「質」そのものが劇的に変化していることを示唆しています。このグローバルな潮流は、ポテンシャルを重視する「新卒採用」と、即戦力を求める「中途採用」という異なる論理で動いてきた日本の採用市場に変革を迫ります。そこで本記事では2回にわたり、この構造変化の本質を解き明かし、これからの時代に企業が競争優位を築くための、新たな採用基準を提言します。今回は、新卒採用における採用基準の変化と、それに対応した採用手法のアップデートについて論じます。

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ジュニアレベルに訪れる変化

 従来の新卒採用では、いわば「白紙のキャンバス」であることが美徳とされ、企業の文化や仕事の進め方を素直に吸収し、与えられた課題をそつなく解決する能力が重視されてきました。これは、先輩社員が時間をかけて定型業務や組織の暗黙知を教え込み、一人前に育てるという育成モデルが機能していたからです。

 しかし、生成AIの登場は、この育成モデルの前提を根底から覆しました。議事録の作成、情報収集、データ入力といった定型業務はAIが瞬時にこなし、過去の成功体験に基づいた従来手法も、AIを活用することで抜本的な見直しが求められます。もはや、コストをかけて定型業務を教える価値は薄れ、言われたことを素直にこなすだけの人材は、AIに代替されるリスクに直面しています。

 この変化は、新卒採用の終焉を意味するものではありません。そうではなく、求めるポテンシャルの尺度が変わったのです。これからの新卒者に求められるのは、上司や先輩、あるいはAIが提示した答えを鵜呑みにする「素直さ」ではなく、その前提自体を問い直す「批判的思考力」。そして、確立された手法を学ぶだけでなく、AIという新たな武器を手に、自ら学び、変化に適応し続ける「学習アジリティ」なのです。

新卒に求める「新たなポテンシャル」:採用時に見極めるべき資質・スキル

 それでは、新卒採用では、どのような資質やスキルを見極めるべきなのでしょうか。私たちは、以下の3つが新たなポテンシャルの核になると考えています。

1批判的思考力(クリティカルシンキング)

 AIが生成した情報や、社内に存在する「当たり前」を無条件に受け入れるのではなく、「本当にそうか?」「なぜそう言えるのか?」と多角的に問い、物事の妥当性を吟味する力です。この思考のOSは、一朝一夕には身に付きません。その源泉となるのが、特定の専門知識ではなく、哲学、歴史、芸術、数学、自然科学、社会科学といったリベラルアーツの素養です[1]。多様な学問領域に触れることで培われた多角的な視点こそが、AI時代に新たな問いを立て、イノベーションを生み出すための土台となります。

[1]: 国際基督教大学『リベラルアーツの歴史

2学習アジリティ(Learning Agility)

 未知の状況や新しい経験から迅速に学び、その学びを応用して成果を出す意欲と能力を指します。特定のプログラミング言語やツールのスキルは、数年で陳腐化する可能性があります。しかし、学習アジリティの高い人材は、変化を脅威ではなく機会と捉え、自らを常にアップデートし続けることができます。

 残念ながら、日米の大学生の学習時間を比較した調査では、日本の学生の学習時間が際立って短いというデータがあります。また、社会人になっても自己啓発を行わない人の割合が諸外国に比べて高いという調査結果もあり、これは根深い課題です[2]。だからこそ、周囲に流されず、在学中から主体的に学び続けた経験を持つ学生は極めて希少価値が高く、企業の未来を託すに値する人材と言えるでしょう。

[2]: パーソル総合研究所 シンクタンク本部『グローバル就業実態・成長意識調査(2022年)

3基礎的なAIリテラシー

 これは、かつてブームとなったような、手続き的な処理を行うプログラミング能力を指すのではありません。AIがどのように機能し、何が得意で何が不得意か、そして活用に伴う倫理的な課題は何かを理解する基本的な素養です。このリテラシーがあって初めて、AIを効果的かつ責任ある形で活用するスタートラインに立てるのです。

 以上のように、生成AIの登場によって新卒採用に求められる基準は、「素直さと課題解決能力」から「批判的思考力と学習アジリティ」へと大きく変化しつつあります。

新卒採用で求められる人材像の変化
BEFORE AFTER
  • 白紙のキャンバスとしての素直さ
  • 与えられた課題への解決能力
  • 定形業務習得
  • 批判的思考力
  • 学習アジリティ
  • 基礎的なAIリテラシー

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この記事の著者

佐藤 一樹(サトウ カズキ)

アビームコンサルティング株式会社 人的資本経営戦略ユニット ダイレクター。外資系コンサルティング企業にて、タレントマネジメント、AIを活用したHRテクノロジー、従業員エンゲージメントに関わる新事業の立ち上げをリード。現職では、日本企業に対する人的資本経営実現に向けたエンプロイヤーブランディングコンサ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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