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HRモダナイゼーション ~グローバルのベストプラクティスに学ぶ日本人事への提言~ | 第10回

日本企業が陥っているスキル管理失敗ループ そこから抜け出すための4つのポイントとグローバル先進事例

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スキル管理失敗ループから抜け出す4つのポイント

 過去のトレンドを振り返って分かるように、テクノロジーが進化しても「それらしいスキルを定義して、従業員のスキルデータを集める(そして、その後は誰かが活用するだろう)」という根本的なアプローチが変わらなければ、スキル管理の失敗ループから抜け出すことはできません。

 では、この負の連鎖を断ち切り、真に機能するスキル管理を実現するにはどうすればよいのでしょうか。過去の教訓を踏まえ、失敗ループから抜け出すための4つの重要なポイントを紹介します。

ポイント1 スキル管理の目的・活用イメージの整理

 スキル管理において、目的の設定が重要であることはいうまでもありませんが、実際には「経営層や社外取締役からスキル管理をするよう指示が降りてきた」「セミナーで聞いてきたスキル管理のツールを導入したら何かうれしいことが起こるかもしれない」と、手段が先行するケースが散見されます。

 また、スキル管理の目的があるという場合も、「適材適所を実現する」「社員がいきいき働く」という抽象的な表現にとどまり、具体的な活用イメージにまで落とし込めていないことがほとんどです。

 仮に「スキル管理の実施」という手段が先行している状況であっても、自社の経営戦略に照らして「どのような人材が必要か」「スキル管理がどう経営に寄与するか」という具体的なイメージを持つことが不可欠です。

 以下に活用例を紹介します。

1)キャリア自律の推進

 従業員が保有する・関心のあるスキルに基づき、個々の希望に沿った成長・挑戦の機会(研修、メンター、社内公募案件など)を提供する。これにより、従業員自らが主体的にキャリアを形成する「自律的な適材適所」を促進する。

2)現職でのパフォーマンス向上

 現在の職務に求められるスキル要件を定義し、その成熟度を可視化することで、従業員が自身の成長のための気づきを得る。また、上司や人事が従業員のパフォーマンスを向上させるための助言や学習の推奨をする。

3)選抜人材の登用・育成

 次世代リーダーや経営層候補として選抜された「ハイポテンシャル人材」を対象に、リーダーシップ・コンピテンシーのアセスメントを実施する。この結果を、経営ポストへの登用や戦略的な人事ローテーション、または特別育成プログラムへの指名といった、登用・育成施策における判断材料とする。

4)仕事の適合性・品質保証の徹底

 業務遂行に必要な資格の保有状況や有効期限を管理する。併せて、「品質マネジメントシステム」が求める実務経験や技術スキル(力量)を適切に管理することで、品質の維持・向上とリスク回避を図る。

5)全社スキルポートフォリオの把握

 経営戦略に基づき、現在および将来に競争優位となるスキルの保有状況を会社全体で可視化する。目指す姿と現状とのギャップを明確にすることで、要員計画や人材戦略の策定における判断指標とする。

 これらの例はあくまで参考です。実際の検討にあたっては、自社の人事戦略・施策と照らし合わせ、より具体化を図ることが肝要です。

ポイント2 スキルの共通認識

 他部門と「スキル」について議論する際、人によってその定義が異なっていることに気づく場面は多いはずです。ビジネスシーンで広く引用される「カッツモデル」においても、スキルは「テクニカルスキル(業務遂行能力)」「ヒューマンスキル(対人関係能力)」「コンセプチュアルスキル(概念化能力)」の3つに分類されています。

 また、人事制度においては、「コンピテンシー」と「スキル」を切り分けて整理するのが一般的ですが、業務遂行能力(スキル)を「ファンクショナルコンピテンシー」と呼ぶ場合もあります。活用シーンによって適切な定義の粒度は異なり、対象となる部門や階層によってもスキルの種類は千差万別です。つまり、「スキル」や「コンピテンシー」という言葉だけでは、具体的に何を指しているのか分からないのです。

 次図に示すのは、スキル管理の対象となりうる主なスキルの例です。スキル管理のあり方をどれか1つに統一する必要はなく、領域ごとに最適な定義をすることもあります。ただし、関係者間で会話する際には、「いまどの領域のスキルについて話しているのか」という共通認識を持っておくことが重要です。

[画像クリックで拡大表示]

次のページ
ポイント3 スキル管理のコンセプト設計

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この記事の著者

籔本 レオ(ヤブモト レオ)

ワークデイ株式会社 チーフHRストラテジスト。
外資系コンサルティングファームにて、HRトランスフォーメーションを中心とした人事領域のコンサルティングに従事。その後、 事業会社(日本企業)に移り、人事部門の立場から戦略的なHRオペレーティングモデルへの変革をリード。Workdayに入社する前は、外資系ソフトウェア企業にて...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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