目標と目標達成までのプロセス設定が課題解決への近道
――御社が、中小企業を対象とする人事評価サービスを提供する理由とは何でしょう?
田尾豊氏(以下、田尾):現在、中小企業の経営者は大きく4つの課題を抱えています。生産性向上、マネジメント層の育成、採用コストの削減、そして離職率の軽減です。
さらに、安倍政権の「働き方改革」のポイントである同一労働同一賃金、非正規雇用の処遇改善、長時間労働の是正、そして賃金引き上げの波も、中小企業を圧迫している部分があります。声高に「働き方改革をしなさい」と言われても、具体的なHowがなかなか見えてこない。そんな時流の中で、弊社は日本企業の下支えになりたい、助けになりたいという思いで、先ほど挙げた4つのテーマの課題解決を目指して、人事評価制度の構築と運用を支援するサービス「ゼッタイ!評価」を提供しています。
――課題の一つである生産性向上に当たって、一番大事なことは何だととらえていますか。
田尾:目標設定力と、目標設定した後、しっかりとその目標が正しいプロセスを経ているかどうか。簡単な言葉で言うと、PDCAがきちんと回されていることです。
ただし、目標設定をするためには、会社から全社目標、部門目標、そして「上司から何を期待されているのか」が適切に情報開示されていることが大前提です。その上で、はじめて自分自身で「どのような貢献をするか」とプロセスを考えられるようになります。
――それはビジネス戦略を考える、ということでしょうか。
田尾:いえ、会社の大きな戦略を理解した上での「戦術」を考えるということですね。日々の業務にまでタスクとして落とし込んで実施する、という点がポイントです。ただ、これは非常に難しくて最初はなかなかできません。ですから、その部分を我々がサポートする。目標設定研修やクラウド上での添削を通して、極めて具体的な目標にまで引き上げられるようにします。目標は、後から達成/未達成やその程度を明確に振り返ることができなければいけません。そのような目標が「良い目標」です。
もちろん、具体的な業務の難易度や方向性については、我々よりも実際にその会社で業務を担っている評価者の皆様が理解している領域です。そのため、具体性以外の観点では言及できません。それでも、良い目標を設定する支援はできます。このように書けば良い目標になるというポイントや、逆に使ってはいけないNGワードなどが分かっているので、それらを基に目標を添削できるのです。例えば、「積極的に」や「支援する」などのマジックワード、つまり後から具体的に○×を判断できない可能性がある抽象的な言葉は、NGワードですね。
――目標設定は社員誰にでも必要だと思いますが、どの職位まで添削を行っているのでしょうか。
田尾:社長以外の全社員です。例えば部長や役員であっても、何らかの目標を掲げる必要があります。それらについても、良い目標になるように添削を行っています。