「導入して終わり」で形骸化している福利厚生
——貴社は、2021年3月の設立以来、リモートワーク環境整備プラットフォーム「リモートHQ」を提供してきました。そこでどのような課題が見えたのでしょうか。
まず、福利厚生の制度が形骸化し、目的や効果が不明瞭になっているという問題を感じました。当社のサービスでは、福利厚生が生産性向上やエンゲージメントにどれだけ貢献したのか、定量的に効果を可視化しています。そこで、「導入の目的が果たせているのか」「導入して意味があるのか」といった効果が、数値やデータに裏打ちされた状態で見える化されていることに驚く人事担当者が多かったのです。
福利厚生は、多くの企業で「とりあえず導入して終わり」の制度となっており、目的や効果がはっきりしない状態で運用が続けられていることに気づきました。これは、特定の業界や企業規模に限らず、福利厚生を導入している企業が普遍的に抱えている課題でした。
福利厚生には会社の“想い”が込められているはず
——そういった課題感を踏まえて、「カフェテリアHQ」をローンチされました。このカフェテリアHQとはどういったサービスでしょうか。
カフェテリアHQは、社員1人ひとりにぴったりの福利厚生をワンストップで届ける、次世代福利厚生プラットフォームです。主に3つの特徴があります。
1つ目は、AIを活用したパーソナライズ機能です。AIが、社員のパーソナルデータや悩み・嗜好性を学習し、1人ひとりに最適な福利厚生サービスやアイテムをレコメンドすることで、利用率や満足度が向上します。
2つ目は、企業が用意しているあらゆる福利厚生の施策・制度を1つのプラットフォームで運用管理でき、社員周知やその後のサポートなどをワンストップで実行できる点です。従来、福利厚生のカフェテリアプラン(選択型福利厚生)は、制度設計が複雑で、導入までの準備に時間と手間がかかるものでした。一方でカフェテリアHQは、約2ヵ月で制度設計を終え、実施フェーズに入る企業もあります。スピーディに運用できるのも特徴です。
3つ目に、リモートHQ同様、企業の目的や人材戦略に合わせて投資対効果を定量的に測り、人的資本経営の成果を見える化する点にもこだわっています。
その他にも、Amazonと連携しており、カフェテリアHQのポイントで購入した商品が翌日・翌々日には届くという便利な体験を提供できる点も特徴です。
——では、カフェテリアHQが企業にもたらす価値とは何でしょうか。
一言でいえば、その会社が福利厚生に込めた「ありたい姿」の実現です。福利厚生には、その会社が「こうありたい」と目指す、組織に対する想いが込められているはずです。それを体現・促進するお手伝いができればと思っています。
たとえば、ある大手化粧品会社では、自立したラーニング文化の醸成や、女性が長く働き続けられるような健康・美容をサポートする福利厚生を目指しています。カフェテリアHQでは、その想いをラインナップの選定やレコメンドの強弱に反映して、社員1人ひとりに活用してもらえるのです。さらに導入後には、レポーティングサービスによって、福利厚生が理想とする組織の実現にどのように貢献しているのかを実感できます。
——人事担当者も、カフェテリアHQを活用することで大きなメリットを受けられそうですね。
はい。企業のビジョンやバリューを踏まえた組織の構想や、それに紐づく制度の枠組み、仕組みづくりといった戦略面は、人事担当者でなければ行えない領域です。一方で、個々の要望に合わせた対応や働きかけは、テクノロジーが得意な領域です。
たとえば、「この社員は急に介護の問題が発生した」「この社員は子育てで困っている」といった困りごとを、人事がすべて把握して対応していくのはリソース的にも難しいでしょう。「多様化」「DE&I」といった、重要だけれども実践が大変なテーマを、いかにデータやテクノロジーの力でサポートできるかが鍵であり、カフェテリアHQがそういった役割を担えればと思います。