魅力の言語化は3Cから始める
「3C分析」とは、マーケティングの基本フレームの1つで、自社(Company)、顧客(Customer)、競合(Competitor)という3つの視点から環境を整理する手法です(図1)。

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採用広報における3Cの視点
- Company:自社の強み・特徴・文化
- Customer:ターゲットとなる求職者のニーズ
- Competitor:比較されうる他社の特徴や訴求ポイント
ここでのポイントは、「自社視点だけで考えない」こと。たとえばあるIT企業では、「最先端の技術力が強み」と思っていたものの、学生の志望理由を聞くと「文系でも開発に挑戦できるカルチャーに惹かれた」という声が多数。実は“技術”より“人材育成環境”が魅力だったという気づきがありました。
またある地方の製造業では、「丁寧なものづくり」が強みと思い込んでいたところ、競合も同様のことを打ち出していたため、求職者から見て差別化できていない状態に。そこで、“設計から製造・納品まで一気通貫で携われる面白さ”を打ち出したところ、若手エンジニアからの応募が増加しました。
このように、顧客視点と競合視点を加えることで、“本当に伝えるべき魅力”が見えてくるのです。
SWOT分析で“強みとリスク”を整理する
3Cで全体像を捉えたら、SWOT分析を使って、自社の「内側」と「外側」を深掘りしていきます(図2・図3)。

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たとえば、ある介護系企業では、「資格取得支援制度」を強みとして認識していたものの、求職者にとっては「制度があること」よりも「実際にどれくらいの社員が資格を取り、昇給しているか」のほうが気になっていた。これをきっかけに制度の“実績”と“ストーリー”を打ち出すことで、応募数が1.7倍になったという事例があります。
SWOT分析は、「うちの会社の棚卸し」にとどまらず、発信のヒントや改善の糸口にもなります。特に、O(機会)とS(強み)を掛け合わせて「今だからこそ伝えるべきこと」を抽出すると、外部環境に応じた訴求軸が見えてきます。