富士通は8月6日に「CHRO Roundtable Report 2025」を公開した(ダウンロード)。同レポートは第3回CHROラウンドテーブルとして、ENEOSホールディングス、日本郵船、三井住友フィナンシャルグループ、レゾナック・ホールディングス、富士通の各CHRO(最高人事責任者)が「データドリブンで進めるHRBP(Human Resource Business Partner)活動による人的資本経営の実践」をテーマに各社の取り組みを共有・議論し、その成果をまとめたもの。経営戦略に沿った事業戦略の実現にHRの観点から支援するHRBP活動に焦点を当て、新たな示唆を提供している。
同レポートでは、「人的資本価値向上モデル」を用いて可視化された各社の「人的資本経営ストーリー」と、HRBP活動との関係が結び付けられ、企業価値向上に資する人事・HRBP活動のあるべき姿の全体構造が議論・整理されている。その成果が次図で、人的資本経営ストーリーを現場に実装し、それぞれの事業成長につながるような実践に落とし込むことが可能となるという。

[画像クリックで拡大表示]
人的資本価値向上モデル(左)のポイント
経営・事業戦略上、必要不可欠な人事戦略上の取り組みを「成果を生むための取り組み」(ブルー)、その取り組みを持続的に支えるための人材に関する取り組みを「持続的効果を生むための取り組み」(ピンク)で表している。それぞれの施策がどのように企業価値向上につながっているのか、各社の人的資本経営の全体構造を捉えて可視化し、比較検討することができる。
人事・HRBP活動(右)のポイント
以下の活動を通してHRBPは、全社と事業をつなぐチェンジエージェントとなる。
- 人事戦略策定:人材ポートフォリオと必要な人材の要件定義により、As is-To beギャップを把握。経営戦略を実現するための人材面での課題を抽出し、人事戦略を策定する。
- 人事施策展開:施策を事業部に展開していく人事・HRBPは、事業部長、部門長の「人事参謀」として、人事施策についての助言を行う、他部門でのベストプラクティスを横展開する、といった人事コンサルティング業務を行ううえで不可欠な機能となることが必要。そのためには、現場の人事関連業務に柔軟な対応を行い、信頼関係を築くことがまずは求められる。
- 事業成長への貢献:人事施策展開を通して事業成長への貢献するためには、データツールを活用して現場にフィットするよう施策の展開を工夫したり、効果測定を行うことで納得感を高めたりすることが求められる。また、一過性の施策展開に終わらないよう、人事・HRBPが、PDCAを回しながら施策の有効性を高めていき、事業部門に伴走しながら支援を行うことが重要となる。
なお、第3回CHROラウンドテーブルは、2024年10月から2025年6月にかけて実施された。参加者は以下のとおり。モデレーターは富士通 CEO室長の西恵一郎氏が務めた。
- 布野敦子氏(ENEOSホールディングス 常務執行役員 CHRO 秘書部・人事部・広報部 管掌)
- 鈴木康修氏(日本郵船 取締役 常務執行役員 CCO CHRO 総務本部長)
- 小林喬氏(三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務 グループCHRO)
- 今井のり氏(レゾナック・ホールディングス 取締役 常務執行役員 最高人事責任者(CHRO))
- 平松浩樹氏(富士通 取締役執行役員専務 CHRO)