同調査は、2019年2月6日~3月8日に、下記14の国・地域における主要都市で働く男女20~69歳を対象として行われた。各国のサンプル数は1000。
1. 中国(北京、上海、広州)、2. 韓国(ソウル)、3. 台湾(台北)、4. 香港、5. タイ(バンコク)、6. フィリピン(メトロマニラ)、7. インドネシア(ジャカルタ)、8. マレーシア(クアラルンプール)、9. シンガポール、10. ベトナム(ハノイ、ホーチミンシティ)、11. インド(デリー、ムンバイ)、12. オーストラリア(シドニー、メルボルン)、13. ニュージーランド、14. 日本(東京・大阪・愛知)
調査結果について、パーソル総合研究所は以下のように伝えている。
上昇志向に関する日本の特徴
現在、非管理職である人に聞いたところ、日本は管理職になりたい人の割合が21.4%で、14の国・地域で最も低かった。逆に言えば、日本では積極的な管理職志向がない人は78.6%にものぼる。日本は出世意欲も最も低い。
勤務先以外での学習や自己啓発について、日本は「特に何も行っていない」が46.3%で、14の国・地域で最も高い。2位のオーストラリアと比べて24.8ポイントも差があり、断トツで自己研鑽していない。
日本の起業・独立志向は15.5%で最も低い。一方、東南アジア(シンガポール以外)、インド、中国では、起業・独立志向は4割を超えている。
仕事選びで重要視する点について、日本は、1位=希望する年収が得られること、2位=職場の人間関係が良いこと、3位=休みやすいこと。「年収」は他国も1位ないし上位だが、「職場の人間関係」や「休みやすさ」は日本のみベスト3に入っており、独自の傾向が見られる。
上記のほか、日本は「女性上司のもとで働くことに抵抗はない」で最下位、「外国人と一緒に働くことに抵抗はない」で最下位、「年下上司のもとで働くことに抵抗はない」でワースト2であることや、日本は勤務先に関する満足度が低く、今の勤務先で働き続けたい意欲は薄いが、積極的に転職したいとも考えていないこと、転職後の年収については上がりにくい傾向であることなどを伝えている。
この結果を受けて、パーソル総合研究所 取締役副社長兼シンクタンク本部長 櫻井功氏は次のように述べている。
「日本だけ『一人負け』といってよい特異な数字が出た調査結果となった。日本型雇用が直面している『機能不全』と切り離すことは極めて難しい。
男性中心で強い同調圧力、自社でしか通用しない業務プロセスの習得を通じた業務遂行能力の長期育成、年功的人材運用――これらが見られる組織において、先輩や上司は20~30代にとって魅力的なロールモデルとなりにくい。また、40代以降ではほぼ出世の勝負がついており、逆転人事は期待できない。こうした社会では、自ら学んで力を付けて自らの市場価値を上げ、時には転職をも手段としてキャリアを自ら形成していく意識や行動は現れにくい。
今回の調査結果は、今後激しさを増すグローバルビジネスや、外国人を含む優秀な人材の獲得など『国際競争力の低下』という観点から極めて憂慮すべきものである。このままいけば日本の産業のさらなる地盤沈下は避けられず、改革を進めなければならない」(櫻井氏)