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落とし穴はこれで回避! Oracle DB 12c SQL基礎 弱点克服スクール | 第7回

結合の使用による複数の表のデータの出力

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外部結合

NATURAL JOINJOIN USINGで求める等価結合は、ON句とイコール(=)演算子を使用しても同じ結果を得られます。

ON句は、互いのレコードにおいて結合列名が異なる場合や、等価以外(例えば、BETWEEN AND)の演算子を使用した結合条件を指定する場合(非等価結合)に使用できます。

単なるJOIN(またはINNER JOIN)は、結合条件に一致したレコードを結果として出力しますが、JOINの前にLEFTRIGHTFULLを指定すると、結合条件を満たさないレコードも出力できます。

次の例題を見てください。

問2

次の2つの表を確認してください。

SQL> desc promotions
 名前                          NULL?    型
 ----------------------------- -------- --------------------
 PROMO_ID                      NOT NULL NUMBER(6)
 PROMO_NAME                    NOT NULL VARCHAR2(30)
 PROMO_SUBCATEGORY             NOT NULL VARCHAR2(30)
 PROMO_SUBCATEGORY_ID          NOT NULL NUMBER
 PROMO_CATEGORY                NOT NULL VARCHAR2(30)
 PROMO_CATEGORY_ID             NOT NULL NUMBER
 PROMO_COST                    NOT NULL NUMBER(10,2)
 PROMO_BEGIN_DATE              NOT NULL DATE
 PROMO_END_DATE                NOT NULL DATE
 PROMO_TOTAL                   NOT NULL VARCHAR2(15)
 PROMO_TOTAL_ID                NOT NULL NUMBER

 SQL> desc sales
 名前                          NULL?    型
 ----------------------------- -------- --------------------
 PROD_ID                       NOT NULL NUMBER
 CUST_ID                       NOT NULL NUMBER
 TIME_ID                       NOT NULL DATE
 CHANNEL_ID                    NOT NULL NUMBER
 PROMO_ID                      NOT NULL NUMBER
 QUANTITY_SOLD                 NOT NULL NUMBER(10,2)
 AMOUNT_SOLD                   NOT NULL NUMBER(10,2)  

次の問い合わせを実行しました。

SELECT DISTINCT pr.promo_id,pr.promo_name,s.prod_id
FROM   sales s
RIGHT OUTER JOIN  promotions pr
ON    s.promo_id = pr.promo_id
WHERE s.prod_id IS NULL;  

この問い合わせに対して、正しい記述を選びなさい。

  • a. 外部結合にDISTINCTは使用できないので、エラーになる
  • b. 売り上げがあったプロモーションの名前と製品のIDが出力される
  • c. 売り上げがなかったプロモーションの名前と製品のIDが出力される
  • d. 売り上げの有無に関係なく、すべてのプロモーションの名前と製品のIDが出力される
  • e. プロモーションの有無に関係なく、売り上げのあったプロモーションの名前と製品のIDが出力される

結合では、結合条件を満たすレコードが出力されるわけですから、一方の表にしか存在しない結合列値を持つレコードは出力されません。設問のプロモーション(promotions)表と売り上げ(sales)表を使用して説明するならば、「プロモーションは行ったが売り上げにはつながらなかった製品」が存在する場合、そのプロモーションは結合結果には出力されません。また、「プロモーションが行われずして、販売された(売りあがった)製品」が存在しても、やはり結合結果には出力されません。 プロモーションが行われた上で、販売された製品のIDおよびプロモーションの名前が出力されます。

しかし、実務においては、「お金をかけたのに結果が出てない(売り上がっていない)プロモーションはどれだ?」とか「プロモーションなんてしなくても売れている製品はどれだ?」ということに関心が向く場合があります。 こうしたシーンでは外部結合を使用します。外部結合にすれば、「プロモーションした製品が売れた」という結果と共に、これらのレコードも出力されます。

外部結合にはLEFTRIGHTFULLの指定ができました。

構文 外部結合の基本構文
FROM 表1 {LEFT | RIGHT | FULL} OUTER JOIN 表2

LEFTRIGHTは、JOIN句の位置から見て左(LEFT)か右(RIGHTと覚えてください。

JOIN句の左、つまりFROM句に記述した表1のレコードを全部(結合条件を満たさないレコードも含め)出力したいならLEFT OUTER JOINと記述し、JOIN句の右、つまりJOIN句に記述した表2のレコードを全部出力したいならRIGHTです。

FULLは左(表1)も右(表2)も全部です。

これを踏まえて問2のSQLを見てみるとRIGHT OUTERですから、全部出したいのはJOIN句の右に記述されているpromotionsです。よって、売り上げがあったことにこだわっている選択肢bと、プロモーションの有無に関係なく(つまり、製品を全部出したい)と言っている選択肢eは不正解です。

OUTER JOINしているだけなら、売り上げの有無に関係なくと言っている選択肢dが正解になるでしょうが、設問のSQLにはWHERE句が記述されています。外部結合をすると、相手の表(sales)には一致するレコードがないわけですからNULLが出力されます(実行例参照)。WHERE句では、そのNULLレコードを絞り込み条件(検索条件)にしているので、売り上げがなかったプロモーションを求めている選択肢cが正解です(選択肢dは不正解)。

問2の問い合わせの実行例
SQL> SELECT DISTINCT pr.promo_id,pr.promo_name,s.prod_id
  2  FROM   sales s
  3  RIGHT OUTER JOIN  promotions pr
  4  ON    s.promo_id = pr.promo_id
  5  WHERE s.prod_id IS NULL;

  PROMO_ID PROMO_NAME                        PROD_ID
---------- ------------------------------ ----------
       306 newspaper promotion #19-306
       136 flyer promotion #24-136
       345 newspaper promotion #16-345
       (以下省略)

なお、実行例から分かるように、外部結合でもDISTINCTは使用できるので、選択肢aは不正解です。

次のページ
自己結合

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この記事の著者

林 優子(ハヤシ ユウコ)

日本オラクル株式会社の教育ビジネスのスタートアップを全面的に支援し、バージョン5の頃からOracleに携わるベテラン講師として知る人も多い。Oracle認定講師を表彰するExcellent Instructorを連続受賞。1ランク上のITスペシャリスト育成を目標に、データベース分野にとどまらず「プレゼンテーション」、「ロジカルシンキング」などのトレーニングも手がけている。著書に『オラクルマスター教科書』シリーズ(翔泳社)、『プロとしてのデータモデリング入門』(SBクリエイティブ)など。その他、雑誌執筆、著書・メディア出演も多数。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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