同調査は、2019年3月から4月にかけて実施した第1回の調査と比較し、制度導入への準備の進み具合や導入後の勤務条件に関する見通しがどのように変化したかを明らかにすることを目的として実施された(第1回調査の結果)。主な結果は以下のとおり。
前回調査時と同じく、大企業の7割以上で同一労働同一賃金導入についての対応方針が決まっていない
大企業の人事担当者500人に対し、「あなたの勤務先では、同一労働同一賃金の導入についてどのように対応するか、方針は決まっていますか」と質問したところ、「決まっていることもあるが、決まっていないこともある」と「まだ決まっていない」を合わせて、全体の7割以上にあたる72.6%の企業で対応方針が決定していないことが分かった。前回調査時にも73.0%が「対応方針が決定していない」と回答しており、全体としては方針の決定に関する進捗がほとんどないという結果になった。
非正社員の基本給は現在に比べて増える見込み
勤務先で同一労働同一賃金導入後の正社員と非正社員の基本給に関する対応方針が決まっていると答えた人事担当者293人の回答を見ると、6割以上となる60.8%の企業で、「非正社員の基本給が現在に比べて増える見込み」であることが分かった。非正社員の基本給が「増える」と回答した人事担当者の割合は、前回から8.7ポイント増加した。
正社員の基本給に関しては、71.0%が「変わらない」と回答。前回と比べて10.9ポイント増と大きく増えた。一方で、正社員の基本給が「増える」と回答した人事担当者の割合は前回の19.9%から8.3ポイント減の11.6%。「減る」と回答した人事担当者の割合も前回の19.9%から2.5ポイント減の17.4%となった。
非正社員の賞与を新設するところ、新設しないところが共に増加
勤務先で同一労働同一賃金導入後の正社員と非正社員の賞与に関する対応方針が決まっていると答えた人事担当者293人の回答を見ると、非正社員の賞与について、「現在は支給していないが、同一労働同一賃金の導入により新たに設ける予定」と答えた人事担当者の割合が19.8%と、前回から4.6ポイント増加。また、「現在支給しておらず、今後も支給する予定はない」と回答した人事担当者の割合は、前回から6.3ポイント増えて11.3%となった。
正社員の賞与に関しては「変わらない」が72.0%ともっとも多く、前回の66.0%から6ポイント増となった。
非正社員へ手当てを支給を始めるところはやや増加
勤務先で同一労働同一賃金導入後の正社員と非正社員の手当て(通勤手当て、住宅手当てなど)に関する対応方針が決まっていると答えた人事担当者306人の回答を見ると、非正社員の手当てに関しては、前回調査時とほぼ同じ44.1%が「変わらない」と回答。また、非正社員の手当てが「減る」と答えた人事担当者の割合が2.9%と前回から3.8ポイント減る一方、「現在は支給していないが、同一労働同一賃金の導入により新たに設ける予定」は2.0ポイント増えて15.4%となった。
正社員の手当てについては前回も7割以上の人事担当者が「変わらない」と回答していたが、今回はそれが81.4%と8割を超えた。
非正社員に退職金を新設しないと決めたところが増加
勤務先で同一労働同一賃金導入後の正社員と非正社員の退職金に関する対応方針が決まっていると答えた281人の回答を見ると、非正社員の退職金について、前回とほぼ同じとなる18.1%が「現在は制度がないが、同一労働同一賃金の導入により新たに設ける予定」と回答した。「現在制度がなく、今後も制度を設ける予定はない」と答えた人事担当者の割合は、前回から5.4ポイント増えて23.8%となった。
正社員の退職金に関しては前回同様に「変わらない」と答えた人事担当者が最も多く、その割合は75.8%で前回から7.1ポイント増となった。
休暇は正社員・非正社員とも変わらないが最多
勤務先で同一労働同一賃金導入後の正社員と非正社員の休暇に関する対応方針が決まっていると答えた336人の回答を見ると、正社員・非正社員ともに「変わらない」が最も多くなった。正社員の休暇に関しては86.0%の人事担当者が「変わらない」と回答し、前回から6.3ポイント増加。非正社員の休暇については11.3ポイント増となる62.8%の人事担当者が「変わらない」と回答しました。