パーソルキャリアは、日本電気(以下、NEC)と共同でSelf-Sovereign Identity(自己主権型アイデンティティ)[1]のコンセプトをベースにした、国をまたぐ新しいダイレクトリクルーティングサービスの実証実験を、インドのITエンジニアと日本企業を対象に、2020年8月から開始することを発表した。
本実証実験では、外国人ITエンジニアの採用を検討する日本企業向けのダイレクトリクルーティングサービスを検証する。GMOインターネット、ワイヤードビーンズなど計6社の日本企業が参画し、インド在住のITエンジニアを対象に採用活動を行う。
転職希望者であるインド在住のITエンジニアは、事前にオンラインでスキルチェックを行う。結果はスマートフォンアプリに自動連携され、自らのスキル証明書を信頼性の高い情報として保管できる。この証明書は転職希望者がアクセス許可した企業が閲覧できるため、企業ごとに異なるスキルチェックテストを受ける手間が省け、転職希望者の選択肢の幅を広げることにつながる。また、求人企業はそれらの情報によって、採用後の人材ミスマッチを防ぐことが期待できる。
<検証内容>
① 日本で就労希望があるインド在住のITエンジニアのニーズ調査
② 日本の求人企業の採用負担削減効果
③ プログラミングスキルチェックの妥当性
なお、本実証実験では、NECが独自に開発したブロックチェーン技術とAONT技術[2]を用いたスマートフォンアプリを使用する。転職希望者は、自身のパーソナルデータなどの秘匿性の高い情報をセキュアかつ簡単に管理(追加・編集・削除)したり、アクセスコントロールを行ってデータの開示可否を設定したり、情報の改ざんを防ぎ真正性を高く担保したりすることが可能という。
2020年8~10月の3か月間の実証実験を通じて、転職希望者個人の経験や知識、実績を基にインド・日本の国をまたぎ、公平に仕事を得る機会を創出。その結果を踏まえ、NECは2020年度中のダイレクトリクルーティングサービス開始を目指している。また、両社は最新のICTを活用した本実証実験取り組みを通して、オンライン上で世界中の人々が国境を越えて自由に信頼・協力し合える多様な働き方、生き方が可能な世界の実現に貢献するとしている。
注
[1]: 特定の管理主体が介在することなく個人が自分自身のアイデンティティを自ら保有しコントロールできるようにするべきであるという考え。
[2]: データから複数の新しい断片データを生成するデータ変換技術。断片データからは、全ての断片を集めて結合しないかぎり、元のデータについて何も知ることができないことを保証する。これを用いて、断片データをそれぞれ異なるクラウドサーバに分散配置すれば、元のデータに関して高い機密性が実現可能。