リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所は、会社勤務の一般社員2040名を対象に「働き方改革」に関する意識・実態調査を実施し、結果を発表した。調査期間は2020年3月26日~28日。
同調査では、働き方改革による個と組織の変化について、図表1のような項目を用いて回答を得た。「個を生かす」得点、「組織を生かす」得点の両方が高い/低い場合、いずれかのみが高い場合の特徴を確認するために図表2のような分類を行った。1~5点に分布している選択肢の内容をふまえて、それぞれ「高」群は3.5以上、「低」群は2.5未満とし、その組み合わせで5つの群を作成した。
組織面を見ると、働き方改革により、「個と組織の両方を生かす変化が起こった」と感じている回答者群(両方高群)は、「生産性の向上」「働き方の柔軟化・多様化」「事業成果の向上」といった成果が最も大きいことが分かった。
個人面では、社員が「個と組織の両方に生かす変化が起こった」と感じている回答者群(両方高群)は、「社員の働きがい(ワークエンゲージメント)」が高く、また「社員が燃え尽き症候群(バーンアウト)や仕事の無意味さを感じにくい」といった成果が最も大きい結果となった。
このことから、働き方改革により、「個を生かす変化が起こった」と感じている回答者群(個高群)の「個人面の成果」が最も大きく、また「組織を生かす変化が起こった」と感じている回答者群(組織高群)の「組織面の成果」が最も大きいわけではないことが分かった。働き方改革により、「個と組織の両方を生かす変化が起こった」と感じている回答者群(両方高群)が、個人面・組織面のいずれにおいても最も大きな成果を出している。
働き方改革により「個と組織の両方を生かす変化が起こった」と感じている回答者群(両方高群)には、「労働時間が短い」「社員の離職率がそれほど高くない」「組織の柔軟性を高める人的資源マネジメントが導入されている」「職務の自律性が高い」といった特徴がある。また、この回答者群の所属する組織の働き方改革の目的として、「労働時間の抑制」を行う「法改正対応」だけではなく、「従業員の長期的なキャリアの充実」を掲げていることがわかった。
さらに、働き方改革の進め方では、「経営が重要な取り組みとして語る」「従業員の意見が反映される機会がある」「事業や部門の事情が考慮されている」ことを特徴としており、また社員が「自分ごととして捉えることができて、一部の限られた人のための施策だとは感じていない」ことの影響が大きかった(いずれも中群と比較した特徴)。
そのほか、「個と組織の両方を生かす変化が起こっている」回答者群(両方高群)では、働き方改革の施策全般の導入率が高い傾向があり、バランスのよい施策導入は「個と組織の両方を生かす働き方か改革」の前提条件ともいえる。
同調査の詳細なレポートは、リクルートマネジメントソリューションズのWebサイトを参照のこと。