日経HRは、転職エージェント(人材紹介会社)を対象として、2020年12月に中途採用に関する調査を実施した。回答者数は40社75名。
2021年の中途採用求人件数は「大幅に増えると思う」(2.7%)と「少し増えると思う」(50.7%)を合わせた「増える」は約5割。中長期では「大幅に増えると思う」が17.3%、「少し増えると思う」が56%で、「増える」は約7割となり、21年に比べ2割増えた。「増える」理由はコロナ収束後の景気回復や20年の採用控えの反動、コロナによる事業の見直し、新規事業進出に伴う人材獲得などが挙げられている。
選考基準は、「非常に厳しくなる」(14.7%)と「少し厳しくなる」(52.0%)で、「厳しくなる」との回答が約7割を占めた。コロナ禍で企業のコスト意識が高まる中、人件費抑制のために即戦力を求める傾向が強まっている。2021年も同じ傾向が続くと、多くの転職エージェントは予想している。
2021年の中途採用の求人件数が増えると回答した人を対象に、求人件数が特に増えると見ている業界について聞いたところ、回答は「IT・通信・インターネット」に集中(72.5%)した。さまざまな業界、企業でDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れが加速する中、DXを支援する業界はさらに活況が続き、求人件数も増えると見られている。
前問と同様に、2021年に求人件数が特に増えると見ている職種について聞くと、DXを推進する「IT・Web・ネットワークエンジニア」が最も多く62.5%。求人が伸びる業界で「IT・通信・インターネット」が挙がったことと連動している結果となった。その一方で、「企画・マーケティング」という回答も30%に上り、新規事業進出などに関わる人材ニーズの高まりがうかがえる。
2021年、特に求人需要が高まりそうな人材のキーワードについて聞いたところ、「DX」が64%、「即戦力」が50.7%、「IT」が44%、上位3つに回答が集中した。このほか「女性管理職」(13.3%)、「M&A」(13.3%)が続き、企業の女性活用推進やM&Aの増加が背景にあると推察される。これら以外に10%を超えたキーワード(選択肢)はなかった。