SAPジャパン、オービックビジネスコンサルタント、ピー・シー・エー、ミロク情報サービス、弥生、Works Human Intelligenceの6社は、社会的システム・デジタル化研究会として、「デジタル化による年末調整の新しいあり方に向けた提言」を発表した。
同研究会は、社会的システムのデジタル化(Digitalization)を通じ、社会全体の効率を抜本的に向上させ、社会的コストの最小化を図ることを目指し、2019年12月に発足。2020年6月には、「社会的システムのデジタル化による再構築に向けた提言」を発表し、「中長期的には、確定申告制度、年末調整制度、社会保険の各種制度等について、業務プロセスを根底から見直すデジタル化を進めるべき」との提言を行った。今回の提言はそこから、「新しい年末調整のあり方」についてまとめたものとなっている。
同提言における新たな年末調整の基本的な考え方は次の5つ。
- 発生源でのデジタル化
- 原始データのリアルタイムでの収集
- 一貫したデジタルデータとしての取り扱い
- 必要に応じた処理の主体の見直し
- 確定した事実ベース
そして、「従業員の扶養情報等の情報」「月次の給与支払いや源泉徴収の実績」「各種控除証明データ」を、発生源からデジタルデータでリアルタイムに収集し、翌年1月以降に年税額・精算額を算出することを提言している。紙の電子化にとどまらず「デジタル化」で業務のあり方を見直すことにより、効率が抜本的に向上した年末調整業務が実現されることを目指す。
新たな年末調整の実現に向けては、変更に要する工数や時間軸において難易度が異なるものが混在している。そこで提言では、段階的に実現していくアプローチが望ましいと考え、第1ステップは2023年分頃、第2ステップは2026年分頃での実現を目指すとしている。年末調整制度は主に行政の仕組みであるため、新たな制度の実現に向けては、行政による主導が必要になってくる。その一方で、民間事業者からも一定の関与と強力な後押しが不可欠と考えられる。
主な提言内容
- 年末調整制度について、デジタルを前提とし、業務のあり方そのものを見直す「デジタル化(Digitalization)」を推し進めること
- 社会全体としての最適化を実現するために、デジタル化を前提に、業務の処理方法、処理時期、そして従業員、事業者、行政の役割を見直すこと
- 明確なロードマップを策定し、段階的に、着実に推進すること。またその推進のために、行政と民間が協同で取り組むこと