パーソル総合研究所は、はたらく人の幸せに関する調査結果を発表した。同調査は2021年2月に実施したもので、2020年2月に実施した初回調査に続き、2回目となる。
なお、パーソル総合研究所は、はたらく人の心理状態を「幸せ」と「不幸せ」の2軸で捉え、「幸せ」や「不幸せ」をもたらす7つの要因を測定する新たな診断ツール「はたらく人の幸せ/不幸せ診断」を開発し、誰でも無料で利用できるように公開している。
同社は、調査結果について以下のように述べている。
①幸せ・不幸せ実感の変化
初回調査(2020年2月)と、今回の2回目の調査(2021年2月)を比較すると、はたらく幸せの実感はほぼ変わらないが、不幸せは減少していた。在宅勤務などのテレワークの実施をはじめ、コロナ禍における働き方の変化によって、従来受けていた不快なストレスが低減していることが推察される。
「はたらく幸せ/不幸せ実感」のポイント(pt)は、5つの設問(総合・頻度・周囲との比較・世間との比較・持続性)の平均得点。
「はたらく幸せ/不幸せ因子」のポイント(pt)は、下記設問の平均得点である。
②テレワーカーと出社者のはたらく幸せ・不幸せ
はたらく幸せについて、テレワーカーと出社者を比較すると、はたらく幸せの実感や、はたらく幸せの要因となる因子のすべてにおいて、テレワーカーの方が良好な状態にあった。テレワーカーは幸福度の高い状態で勤務している傾向にあることが示唆される結果となった。
はたらく不幸せについて、テレワーカーと出社者を比較すると、全般的に大きな差はないものの、オーバーワーク因子については出社者よりもテレワーカーのポイントが高い(不良な状態にある)。
③テレワークが与えるはたらく幸せへの影響
偏回帰係数でテレワークが与えるはたらく幸せへの影響を見ると、在宅勤務やモバイルワークなどのテレワークははたらく幸せの実感を上昇させ、不幸せの実感を減少させる傾向にあった。
④20代のはたらく幸せ・不幸せの実感
20代のはたらく幸せ・不幸せの実感について、テレワーカーと出社者を比較すると、テレワーカーのほうがはたらく幸せの実感は低く、不幸せの実感は高いことが確認された。20代のテレワーカーの心理的な状態には注意が必要である。
⑤テレワーカーにおける不幸せの二極化
はたらく不幸せの要因となる因子について、テレワーカーと出社者を比較すると、「自己抑圧因子」「オーバーワーク因子」「協働不全因子」「疎外感因子」については、テレワーカーのほうが不幸せ度合いの高い層と低い層に二極化する傾向が見られた。年代別に見ると、20代は二極化の傾向が特に強い。全体的な傾向としてテレワーカーは幸福度が高く、不幸度が低い傾向にあるが、年代や仕事の習熟状態によっては不幸せを高めてしまうリスクがあり、注意が必要だ。