就活生はInstagram上で企業の情報を求めている
コロナ禍により、就職活動のスタイルはオフラインからオンラインへと変化しました。それにより、学生側は自宅からより多くの企業の説明会に参加したり、移動なしに面接を受けたりできるようになりました。
一方で、その弊害も明らかになってきました。オンラインだけでは会社の雰囲気をつかめず、内定の承諾先を決めきれないケースが増えているのです。
職場や実際に働いている人たちの雰囲気、実際の仕事内容は、就職先を決めるにあたり重要なポイントです。しかし、これまで主流だった新卒ナビサイトや各社の新卒採用ページは1年~数年に1回の更新のため、雰囲気や仕事内容をリアルタイムに知ることができません。
そこで学生は、SNSも駆使して企業の情報収集を行っています。特に、他のSNSと比べ、視覚的に多くの情報を伝えられるInstagramは、中の人の声がリアルに届くことから、学生にとって貴重な情報源になっているのかもしれません。
そうした学生の実態を知るべく、筆者が勤務するリソースクリエイションでは、「コロナ禍におけるSNSに関しての就職活動の実態調査(2021年)」として、就活中の学生202名に対し、2021年6月9日〜7月21日にアンケートを実施しました。
1. 就活生の9割が、応募を検討している企業のInstagramアカウントがあれば見ると回答
「応募を検討している企業のInstagramアカウントがあれば見ますか」という質問に対し、89.1%が「はい」と答えました。多くの学生が就職活動でInstagramの企業アカウントがあれば見ることがうかがえます。
2.就活生の74.8%が、興味のある企業があればInstagram(その他SNS)で社名を検索すると回答
「興味のある企業があればInstagram(その他SNS)で社名を検索しますか」という質問に対しては、74.8%の学生が「はい」と回答しました。就職活動をする際に、Instagram(あるいはその他のSNS)で情報収集を行う学生が多数派だと分かります。
3. 就活生の約9割が、企業のInstagramアカウントが応募に影響するという結果に
「気になる企業のInstagramアカウントを見つけた場合、それを見て応募をどうするか決めますか。」という質問に対しては、「決める」が49.3%で最多の回答となりました。また、「決めない」を除く87.2%の学生にとって、Instagramの企業アカウントが応募に何らかの影響を及ぼすといえます。
内定承諾率を高めるためにInstagramで情報発信を
アンケートの結果から、学生は新卒ナビサイトだけを見て企業を判断していないことが明らかになりました。企業が新卒ナビサイトで打ち出している、給与や仕事内容などのハード面以外の情報をInstagramに求めているのです。
そもそも、ネットを使える環境下で生まれ育ち、まさにデジタルネイティブといえる今の20歳前後の方は、SEO対策などの人の手が加わった検索結果ではなく、SNSを用いてリアルでタイムリーな情報を収集する傾向があります。その層が日常的にチェックしているInstagramで、企業が自社について発信することは、学生に親近感を持ってもらう上で非常に重要です。
具体的にはInstagramを通じて、入社前から、誰とどんな働き方ができるかといった「働くイメージ」を伝えるようにします。会社で働いたことのない新卒の学生は、就職先の情報が不足していると、不安になるからです。その不安を解消するように、オフィスの様子や社員の顔をInstagram上で積極的に発信することで、内定承諾率を上げることが可能です。