外国人留学生就職情報サイト「リュウカツ」を運営するオリジネーターは、2021年度(2022年3月卒)の採用トレンドについて次のように発表した。
22卒は企業側・学生側双方の活動が早期化
企業の理系採用ニーズは相変わらず高い状態が続いている。22卒からは、採用活動が例年に比べて1~2か月ほど前倒しで進んでおり、理系外国人留学生にも同様の傾向が出ている。特に、IT企業はよりスピード感をもって採用活動を進めており、23卒学生に対して、すでに内定を出している企業もある。リュウカツに登録する理系外国人留学生が内定を受けた時期について、20卒・21卒・22卒で比較したところ、22卒のピークが4~5月となっており、過去2年より1~2か月早期化した。
また、理系留学生側の動きにも早期化の傾向が見られる。リュウカツに登録した時期について、20卒・21卒・22卒で比較したところ、ピークの時期はどの年も3月で同じ結果になっているものの、過去2年では減少していた前年7~9月の登録者数が、22卒では逆に増加している。
コロナ禍で留学生が激減。理系人材の争奪戦・採用早期化が加速すると予想
同社では、新型コロナの影響による入国制限により、外国人留学生の新規入国が減少しているという報道を受け、その記事の元データである出入国在留管理庁出入国管理統計表をもとに集計した。
外国人留学生の新規入国者は、コロナ禍前の2019年に比べ、コロナ禍となった2020年は約6割減となっている。2021年も2020年同様に下半期で大きく回復したとしても、通年でコロナ禍前の2019年と比較すると、やはり大幅な減少となることが見込まれる。
DXの推進やビックデータ解析、AI活用などが多くの企業で喫緊の課題となる中、理系外国人留学生は日本の人材不足を補完する貴重なリソースとして、近年採用が活発化していた。このような状況の中で、今後は優秀な理系留学生の争奪戦となることが予想される。
理系留学生が就職したい業種として「環境・エネルギー系」が人気上昇中
リュウカツに登録する理系外国人留学生に実施している、理系外国人留学生の会社選びとキャリアプランに関するアンケートの結果で、就職したい業種の回答を2019年・2020年で比較したところ、「エネルギー・資源・素材」が前年比6.9ポイント増の17.5%となり、第4位から第2位になった。
また、数字的には大きな変化とはいえないものの、世の中のSDGs推進の動きを背景に、企業側も会社説明会などで脱炭素や再生エネルギーなどに触れるケースも多く、外国人留学生側の興味・関心も高まっている。説明会で留学生側から、「材料のリサイクルをしているか」「再生可能エネルギー事業に今後力を入れていくか」といった環境・エネルギーに関連する質問も増えているようだ。
コロナ禍の影響で、理系外国人にも高い日本語力を求める企業が増加
コロナ禍でオンラインによるコミュニケーションが増えたことで、日本企業側が外国人留学生に求める日本語コミュニケーション力の基準が高まっている。理系留学生に対しては、IT関連で使用する言語が英語中心であることから、英語力があればそれほど高い日本語力を求めない時期があったが、コロナ禍となった現在は、理系留学生であっても日本語力の要求基準が高まっており、これも今年度の採用トレンドとして重要なポイントといえるだろう。