リクルートマネジメントソリューションズは2021年12月、20~49歳の会社員826名に対し「仕事と感情に関する意識調査」を実施。「職場・上司の感情配慮の実態」や「職場での感情への配慮と仕事のやる気や成果の関係性」など、調査結果から見える実態について公表した。
調査の概要は次図のとおり。
同調査の実施には、以下4つの背景があったという。
- 技術の進展:AIやロボットに仕事が置き換わっていくとき、人間が行ったほうがよい仕事のひとつとして、感情に関連する仕事がある。人の表情や声のトーン、場の空気や文脈のなかで感情を読み取り、うまく対処していくことが注目されている
- VUCAの影響:変革に伴いスピードが求められると、毎日のストレスで心理的負担が積み重なっていく。VUCA時代の心理的負担の軽減は、今後のビジネスパーソンの大きな課題となる
- 人材マネジメントのホットワードとの関連:エンゲージメント、キャリア自律、心理的安全性、ダイバーシティ&インクルージョンなど、近年の人材マネジメントを考える上でのキーワードが、働いている人たちの感情の問題と関連していること
- テレワークの進展:テレワーク続きで孤独感を抱え、評価されていないのではと不安になるなど、働く人の感情に目を向け、上手く活用することの重要性を考えるきっかけにする
調査の結果は以下のとおり。
積極的にメンバーの声に耳を傾けている上司は約6割
職場や上司が、同僚や部下の感情にどれほど寄り添ったり、配慮したりしているかを尋ねた。その結果、「とてもあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の割合が特に多かったのは、以下の項目であった。
- 職場:「仕事が忙しいときでも、周囲に対する配慮や気遣いを忘れない」(70.8%)
- 上司:「管理職は積極的に職場メンバーの声に耳を傾けている」(57.5%)
「感情に寄り添い配慮する職場」ではネガティブ感情も表出しやすい
前図における5項目の平均値から、感情配慮高群(平均4.48)と感情配慮低群(平均2.99)の2群を作成。この1ヵ月で最も印象に残っている感情を、「あとで社内の人(『職場の上司』『職場の同僚』『上記以外の社内の人』のいずれか)に話した」人の割合を比較した。その結果、ネガティブ感情について、感情配慮高群では低群に比べ、社内の人に感情を伝える傾向が有意に高く、ポジティブ感情にも同様の有意傾向が見られたという。
相互理解や感謝を伝える仕組みが感情交流を促す
感情の交流や配慮を促す仕組みの導入率については、価値の共有や奨励に関する「仕事上の成功事例・挑戦事例を共有する機会」「朝礼や社員全体会議を通じた会社のビジョンの共有」が約25%、社員同士の関係構築に関する「社内報などでの社員の活躍や人となりの紹介」「お互いの良いところやお互いへの感謝を伝え合う仕組み」や、感情配慮に関する「上司と部下の間の、評価面談以外の1on1ミーティング」が約20%となった。
このうち、仕組みの有無と社内の人に感情を伝えたことの間に関係が見られたのは、「お互いの良いところやお互いへの感謝を伝え合う仕組み」「同好会や勉強会など業務外の交流機会や金銭的補助」「社員同士で接点をもちやすくするための社員情報の公開」などであった。
感情の共有は、仕事のやりがいや職場の新価値創造にプラスに影響
前述の「職場・上司の感情配慮」や「感情の交流や配慮を促進する仕組み」は、現在の仕事へのやりがいなどを示す本人のワークエンゲージメントや、職場の新価値創造とプラスの関係があった。
「職場・上司の感情の配慮」は感情労働による消耗感を低減し、やりがいを高める
「職場・上司の感情配慮」は、感情を使う労働において消耗感を低減し、ワークエンゲージメントを高める傾向が見られた。
同調査の詳細は、同社サイト上で確認できる。
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