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スタティックルートとルーティングプロトコル ~ ルーティングテーブルの作り方

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スタティックルートとルーティングプロトコルの選択

ここまで見てきたように、リモートネットワークのルート情報をルーティングテーブルに登録するためには、スタティックルートとルーティングプロトコルの2とおりの方法があります。どちらか一方が他方より優れているわけではありません。スタティックルートにはスタティックルートのメリット/デメリットがあり、ルーティングプロトコルにはルーティングプロトコルのメリット/デメリットがあります。

ポイントは、スタティックルートとルーティングプロトコルをネットワーク構成に応じて組み合わせて、必要なリモートネットワークのルート情報をルーティングテーブルに登録することです。また、1台のルータで複数のルーティングプロトコルを利用することも可能です。

たとえば、次図のネットワーク構成では「R1で192.168.3.0/24のルート情報をスタティックルートでルーティングテーブルに登録し、192.168.4.0/24のルート情報をRIPというルーティングプロトコルでルーティングテーブルに登録する」ことができます[3]

図5:スタティックルートとルーティングプロトコルの組み合わせ
図5:スタティックルートとルーティングプロトコルの組み合わせ

どのように組み合わせるかを知るためには、スタティックルートとルーティングプロトコルのメリット/デメリットを把握しなければいけません。そこで次に、スタティックルートとルーティングプロトコルのメリット/デメリットについてまとめます。

スタティックルートのメリット

ルーティングプロトコルの知識が不要
スタティックルートの設定自体はシンプルで、特別な知識は必要ありません。
ルーティングテーブルが意図せずに書き換わってしまう心配がほとんどない
スタティックルートは管理者が明示的に設定するので、意図しないでルーティングテーブルが書き換わってしまうことはほとんどありません。
ルートを厳密に決められる
目的のネットワークまでの複数のルートが存在している場合、スタティックルートを利用すれば管理者が意図したルートでIPパケットをルーティングすることができます。ルーティングプロトコルでも可能ですが、ルーティングプロトコルごとに追加の設定が必要です。
ルータやネットワークに負荷をかけない
スタティックルートを設定してもルータは、追加の処理を行いません。またルート情報をネットワークに送信しません。そのため、ネットワークやルータに余分な負荷をかけずに済みます。

スタティックルートのデメリット

管理者の負荷が大きい
スタティックルートだけでルーティングテーブルにルート情報を登録するには、すべてのルータで、各ルータにとってのリモートネットワークのルート情報を設定しなければいけません。多くのルータで構成される大規模なネットワークでは、設定が煩雑になり管理者の負荷が非常に大きくなります。
ネットワーク構成の変更を自動的に反映できない
新しいネットワークが追加されたり、障害発生などでネットワークの構成が変更されたりしても、スタティックルートでは、ルーティングテーブルを自動的に変更することができません。ネットワークを冗長化していたとしても、スタティックルートだと、障害に応じて自動的にルーティングテーブルを書き換えて経路を切り替えることが困難です。

ルーティングプロトコルのメリット

ネットワーク構成の変更を自動的にルーティングテーブルに反映できる
新しいネットワークの追加や障害発生などのネットワーク構成を反映して、ルーティングテーブルのルート情報を登録することができます。つまり、障害発生時に自動的に通信経路を切り替えることが可能です。
管理者の負荷が少ない
たくさんのリモートネットワークがあったとしても、各ルータではルータ全体とインタフェースでルーティングプロトコルを有効化するだけです。大規模なネットワークでもスタティックルートに比べると、設定の手間が少ないので、管理者の負荷も少なくなります。

ルーティングプロトコルのデメリット

利用するルーティングプロトコルの知識が必要
効果的にルーティングプロトコルを利用するためには、利用するルーティングプロトコルの仕組みを理解しておかなければいけません。
意図せずルーティングテーブルが書き換わってしまうことがある
ネットワーク上に流れるルーティングプロトコルのルート情報が改ざんされてしまうと、不正確なルーティングテーブルになり正しくルーティングできない可能性があります。また、ルート情報が盗聴されると、不正なユーザにネットワーク構成の情報を与えてしまうことになります。スタティックルートに比べると、セキュリティ上問題が発生する可能性が高くなります。
ルータやネットワークに負荷がかかる
ルーティングプロトコルの処理を行うため、スタティックルートよりもルータに負荷がかかります。また、ネットワークにルート情報を送信するので、ネットワークの帯域幅を消費することになります。

このようなメリット/デメリットを踏まえて、スタティックルートとルーティングプロトコルを組み合わせて、ルーティングテーブルにリモートネットワークのルート情報を登録します。

[3]: この図は、あくまでもスタティックルートとルーティングプロトコルを同時に利用できるという例を示しているだけです。この図のような設定をする何らかのメリットがあるわけではありません。

次のページ
ルートの情報源の優先度(アドミニストレーティブディスタンス)

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この記事の著者

Gene(ジーン)

2000年よりメールマガジン、Webサイト「ネットワークのおべんきょしませんか?」を開設。「ネットワーク技術をわかりやすく解説する」ことを目標に日々更新を続ける。2003年にCCIE Routing and Switchingを取得。2003年8月に独立し、ネットワーク技術に関するフリーのインストラ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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