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人事労務事件簿 | #25

他社でのアルバイト就労申請を許可しないことは不法行為と判断(京都地裁 平成24年7月13日)

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 近年、副業を認める企業が増えています。しかし、副業をする従業員の労働時間や健康の管理が主業側の企業に課せられるなど、容易に認めにくい事情があるのも事実です。今回紹介するのは「マンナ運輸事件」と呼ばれる有名な事案で、従業員のアルバイトを会社が認めなかった点が争われました。休息時間を削ってのアルバイトは主業の安全確保に差し支えるなどの会社側の主張は、一定の理解はできるものですが、なぜ裁判所は不法行為と判断したのでしょうか。

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1. 事件の概要

 本件は、被告(以下「Y社」)の従業員である原告(以下「X」)が、アルバイト就労の許可を数度にわたって申請し、Y社がいずれの申請も不許可としたのは違法であるとして、Y社に対し、不法行為に基づき、損害賠償を求めた事案です。

(1)当事者

 Y社は、貨物自動車運送業等を目的とする株式会社です。

 Y社の従業員は、正社員、準社員(フルタイマー。原則として、雇用期間を定めた者で特定の時間および特定の業務に従事するために採用された者)、パートタイマー(短時間勤務者。原則として、就業規則に定める所定就業時間(8時間)に満たない時間または特定の日、特定の時間について会社の業務に従事するために採用された者)となっています。

 Xは、平成4年2月1日にY社に準社員として入社し、それ以来大型貨物自動車の運転手として勤務しています。

(2)Xの就労状況

①A便担当時

 Xは、入社から平成17年10月までは、長距離の定期便であるA便を担当しました。

 A便を担当しているときのXの賃金は、名目で50万円を超え、手取りも45万円ないし46万円でした。

②B便を担当

 平成17年10月ごろにA便の運行が終わり、Xはそれ以降現在まで、京阪神のみを回る定期便であるB便を担当することとなりました。

 B便を担当するようになり、Xの賃金は、名目で40万円前後、手取りで30万円前後に低下しました。

③完全週休2日制

 平成21年11月25日から、Xの勤務日が週5日(休日は水曜日および日曜日)となり、これによりXの賃金はさらに低下しました。

 Xの賃金は、名目で34万円程度、手取りで25万円程度に低下しました。

 なお、Xは、離婚した妻が養育する子どもの養育費・生活費、住宅ローン、両親への仕送りなどによる金員を負担していたところ、給与額が低下し、生活を維持するのが困難となっていました。

(3)Y社の就業規則

 正社員、準社員が、会社の命令または承認を受けないで在籍のまま他の事業に従事したり、または公職に就くことを禁じる旨定めています。

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この記事の著者

坂本 直紀(サカモト ナオキ)

人事コンサルタント、特定社会保険労務士、中小企業診断士、坂本直紀社会保険労務士代表社員。就業規則作成・改訂、賃金制度構築、メンタルヘルス・ハラスメント対策社内研修などを実施し、会社および社員の活力と安心のサポートを理念として、コンサルティングを行う。 ホームページに多数の人事労務管理に関する情報、規定例、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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