ライボの調査機関であるJob総研は、「2023年 ハラスメント実態調査」を実施し、その結果を発表した。
調査の概要と結果は以下のとおり。
- 調査対象者:全国の男女20~50代
- 調査条件:1年以内~10年以上勤務している社会人、20~1000人以上規模の会社に所属
- 調査期間:2023年3月1日~3月7日
- 有効回答数:354人
- 調査方法:インターネット調査
ハラスメント被害の経験有無
回答者全体の354人に過去職場でハラスメントを感じた経験について聞くと、全体の65.8%が「経験あり」と回答し、「経験なし」は34.2%だった。また、過去ハラスメントを感じた経験のある233人に直近1年間でハラスメントを感じた経験を聞くと、「経験あり」が51.9%で、「経験なし」は48.1%となった。
属性別で見るハラスメント被害
ハラスメントを感じた経験を男女別で見ていくと、「経験あり」の男性が66.8%、女性は63.2%でほぼ差がなかった。また、同じく「経験あり」を年代別で見ていくと、40代が85.7%で最多となり、次いで30代が83.5%、50代が75.7%、20代が37.3%で、20代が最も少なく、他年代は8割前後と高くなった。
被害の頻度と加害者
ハラスメントを感じた経験のある233人に被害の頻度を聞くと、「ほぼ毎日」が10.7%、「週に数日」が18.5%、「月に数日」が19.7%で、合算した48.9%がほぼ毎日から月に数日被害を受けていることが分かった。年に数日は51.1%で最多回答だった。
また、ハラスメントの加害者について聞くと、「上司」が72.5%で最多回答となり、他回答と比較すると顕著な数値だった。次いで、「先輩」が27.0%、「役員」が14.2%となった。回答が少なかったのは「部下」2.1%、「後輩」1.7%だった。
ハラスメント被害の種類と具体的な内容
ハラスメントを感じた経験のある233人に被害の種類を聞くと、「パワーハラスメント(パワハラ)」が81.5%で圧倒的に多く、次いで「モラルハラスメント(モラハラ)」が36.5%、「セクシャルハラスメント(セクハラ)」が20.6%となった。また、具体的な内容を聞くと、「個人を否定するような言動」が54.9%で最多となり、次いで「能力を否定するような言動」49.8%、「精神的な攻撃や嫌がらせ」37.3%だった。
被害による影響と相談相手
ハラスメントを感じた経験のある233人に被害による影響について聞くと、「精神的に負の感情を持つようになった」が51.9%で最多となり、次いで「精神的ダメージにより不安定になった」が33.9%、「体調を崩した」が27.5%だった。いずれも精神的なダメージへの影響に関する回答となった。
また、被害についての相談相手を聞くと、「誰にも相談していない」が45.5%で最多となり、次いで「社内の信頼できる人に相談した」が26.6%、「家族や配偶者・親族に相談した」が23.2%となった。「直接抗議した」は12.9%だった。
職場のハラスメント防止対策
回答者全体の354人に職場のハラスメント防止対策の有無を聞くと、「ある」が60.5%で、「ない」が16.9%、「有無を知らない」が22.6%だった。また、防止対策ありを回答した214人にその満足度を聞くと、69.3%が「不十分な対策である」と回答した。
具体的な防止対策
防止対策ありを回答した214人に具体的な防止対策を聞くと、「相談窓口を設けている」が56.8%で最多となり、次いで「ハラスメントガイドラインの周知」が45.5%、「ハラスメント研修および教育を実施」が33.9%となった。
また、ハラスメントを感じた経験のある233人にハラスメントが原因の退職経験有無を聞くと、「退職経験あり」が53.6%、「退職経験なし」が46.6%となり、半数以上がハラスメントの影響で退職に追い込まれていることが分かった。
なお、同調査の詳細データは、同社のWebサイトで確認できる。
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