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職場のジェンダーハラスメントの多くは無自覚の可能性―ワークポートの調査結果

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 総合転職エージェントのワークポートは、全国の転職希望者586人を対象に、「職場のジェンダーハラスメント」についてアンケート調査を行い、結果を発表した。調査期間は2021年2月12日~2月22日。

 毎年3月8日は国際連合によって定められた国際女性デーということで、女性の地位向上を目指したさまざまな働きかけが世界各地で行われている。日本においても、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会での出来事を発端に一層ジェンダーハラスメントへの関心が高まっている。そこで同社は、職場のジェンダーハラスメントについて全国の転職希望者の男女(20代~40代)を対象に調査を行った。

 対象者に現在(直近)の会社は男女平等であると感じるか聞いたところ、「とても感じる」「やや感じる」と回答した人は合わせて49.1%、「あまり感じない」「まったく感じない」と回答した人は合わせて50.8%となった。2020年2月にワークポートが行った同内容の調査では51.4%の人が「男女平等だと感じる」と回答していたが、今回の調査では2.3%減少し、半数を切る結果となった。

 また、対象者に現在(直近)の会社でダイバーシティの推進や男女平等につながる取り組みはされているかと聞いたところ、「はい」と答えた人が20.1%、「いいえ」と答えた人が43.3%、「わからない」と答えた人が36.5%となった。

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 対象者に、現在(直近)の会社で「男性/女性だからこうするべき」といったことを言われたり、強制されたりしたことはあるか聞いたところ、「よくある」「たまにある」が合わせて30.4%、「あまりない」「まったくない」が合わせて69.6%となった。

 実際にどのようなことを言われたのか聞いたところ、「結婚の強制やプライベートな交際経験の執拗な詮索」(30代・男性・営業)、「男は力仕事、女性はお茶汲み、洗い物やごみ捨てをやる」(30代・男性・営業)、「男だから遅くまで残業しても大丈夫などの考えを押し付けられた」(20代・男性・クリエイター)、「面接で子どもを生むのか生まないのか聞かれた」(40代・女性・コールセンター)、「女性だから気が使えなくてはならない、細かいことが得意でなくてはならない、と言われる」(20代・女性・クリエイター)など、男女ともに性別を理由とした業務や対応の強要、プライベートへの過干渉といった意見が挙がった。

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 対象者に女性/男性がジェンダーによるハラスメントを受けているところを見たことがあるか聞いたところ、女性については28.5%の人が「はい」と回答、男性についても21.8%の人が「はい」と回答し、男女ともに20%以上の人がジェンダーハラスメントの現場を目撃していることが分かった。

 女性に対するジェンダーハラスメントについては、「産休から復帰し時短勤務になる女性は強制的に契約社員にさせられていた」(30代・女性・クリエイター)、「女のくせにやかましい、黙って従えといった発言」(40代・女性・接客販売)、「性別による昇格試験の結果の差」(20代・女性・その他)、「年齢や容姿を含めた差別的な発言」(30代・男性・営業)、「未婚の女性を複数人でバカにして笑いものにする」(40代・女性・建築土木)といった性別による役職や業務の制限、女性に対する固定観念の押し付けといった意見が挙がった。

 男性に対するジェンダーハラスメントについては、「育休取得、時差出勤の不許可」(30代・男性・教育)、「女性の上司が男のくせにナヨナヨして、と陰口を言っていた」(30代・女性・営業)、「女性ばかりひいきされている」(40代・男性・営業)、「同期入社の社員に対し、男女でケアに差がある」(30代・男性・営業)、「男性は重い荷物を自主的に運ばなくてはならない」(20代・女性・接客販売)といった、女性への配慮を優先したしわ寄せが男性の負担になっているという意見が挙がった。また、「男性だから〇〇」「男性のくせに〇〇」といった発言が日常的に聞かれるといった意見も多く、ジェンダーハラスメントは女性に対してだけではなく、男性に対しても根強く染み付いていることがうかがえた。

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 対象者に転職するなら、職場のダイバーシティ推進に力を入れている企業に転職したいと思うか聞いたところ「とても思う」が41.3%、「やや思う」が43.5%となり、合わせて84.8%の人がダイバーシティ推進に注力している企業への転職を望んでいることが分かった。キャリアプランやライフプランについても、現在は男女ともにさまざまな選択肢があり性別による制限をなくそうとする動きが目立つ。

 一方で今回の調査では、現在も時代遅れと言える固定観念に縛られたジェンダーハラスメントに苦しむ人が多いことが分かった。今後はダイバーシティの推進に注力し、実際に行動を起こし成果を残す会社が働き手からの支持を集めるかもしれない。

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 今回の調査では対象者のうち約30%がジェンダーハラスメントを受けた経験があると回答していたが、対象者に現在(直近)の会社で、相手に男女差別と捉えられるようなことを言ってしまったことはあるか聞いたところ、「はい」と答えた人は5.3%だった。この結果から、ジェンダーハラスメントと捉えられる発言をしている人の多くが無自覚である可能性も考えられる。

 同社は「ハラスメントと聞くと女性が被害を受けた事例が取り上げられることが多いが、今回の調査では男性からも日常的にジェンダーハラスメントに悩む声が聞こえた。今一度、自分が相手に対して性別の“らしさ”を押し付ける言動をとっていないか振り返ってみる必要があると考えられる。また、企業も今後は一層ダイバーシティの推進に力を入れ、さまざまな働き方を許容できる環境を作り出すことが働き手の定着や企業への貢献につながるだろう」と述べている。

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HRzine編集部(エイチアールジンヘンシュウブ)

労務管理から戦略人事、日常業務からキャリアパス、HRテクノロジーまで、人事部や人事に関わる皆様に役立つ記事(ノウハウ、事例など)やニュースを提供しています。

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