Uniposは10月10日、経営戦略と人事戦略を紐づけた本質的な人的資本経営を実現するための「人的資本経営フレームワーク(田中弦モデル)」を無償提供した。
このフレームワークは、同社 代表取締役社長CEOの田中弦氏が開発。田中氏は、開示義務化以前に先行開示していた企業の統合報告書957社、海外企業330社、2023年3月末決算企業の有価証券報告書2325社を独自に調査したことでも知られる。
田中氏によれば、この調査の結果として、ほとんどの企業が女性活躍・男性育休・有給取得率など比較可能指標を掲載しているのみであり、開示が充実している企業は上場企業の11%に過ぎなかったという。2040年には日本の労働人口は1100万人不足するといわれる深刻な社会問題に立ち向かうには、人的資本経営に本格的に取り組む必要がある。そうした課題感に対し、Uniposが持つ知見を活用してもらうべく、今回のフレームワーク公開に至った。
同フレームワークは次図のとおり。個別施策ごとにバラバラになりがちな人的資本経営に関する議論に対し、①から⑤のプロセスを行うことで、人的資本経営の思考・整理を促進することを企図している。
- STEP①パーパス・ミッション・中期経営計画などの中長期的な理想・大義を設定する
- STEP②①の理想と現状とのギャップを定義することで、課題が明確になる
- STEP③課題を解決するために人的資本投資を行う。人的資本投資には、個人能力を引き出す投資と、カルチャー・集団への投資という2種類がある。カルチャー・集団への投資は、たとえば心理的安全性が向上するなどの個人の人的資本を最大限発揮させる土台構築につながり、組織的人的資本が創出される
- STEP④インプット・アクションによる良い変化が事業活動の中で生まれる。自社の理想や課題に沿った独自指標と、他社と比較可能な指標という2つの視点で変化を分析する
- STEP⑤事業成長などのアウトカムにつながり、それが①の中長期的な理想・大義の達成へと循環していく
同フレームワークに沿って議論することで、企業の経営戦略と人事戦略を強く連動させ、それに紐づく投資について整理し、社内での共通認識や市場からの理解・共感を得やすくなると同社は述べている。
など、同フレームワークは下記のクレジットを表示することで、Uniposに連絡なしで無料で利用できる(クリエイティブコモンズライセンス「表示—継承」)。
人的資本経営フレームワーク(田中弦モデル)/Unipos株式会社提供
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