リンクアンドモチベーションの研究機関であるモチベーションエンジニアリング研究所は、「マネジャーに対する周囲からの評価とエンゲージメントの関係性」に関する調査を行った。
部下からの「戦略情報の提供」で組織のエンゲージメントが向上
まず、マネジャーに対する360度マネジメントサーベイ結果と、そのマネジャーが管理する組織のエンゲージメントスコアを用いて、マネジャーの上司からの評価が部下からの評価に及ぼす影響と、部下からの評価がエンゲージメントスコアに及ぼす影響を調査した。
マネジャーの上司からの「役割遂行や率先垂範」「部下の成長支援」への評価は部下からの評価を高める一方で、「自社の戦略や課題の確認」「業務への要望や改善点の確認」「外部情報の提供」への評価は、部下からの評価を下げる傾向にあることが分かった。
また、部下からの「戦略情報の提供」「進捗状況の確認」「動機付け」への評価はエンゲージメントスコアを向上させる傾向にある。
上司からの「自社の戦略や課題の確認」などが部下からの評価に影響
次に、マネジャーに対する360度マネジメントサーベイ結果を用いて、特定の要素に対する部下からの評価が高い場合における、上司からの評価が部下からの評価に及ぼす影響の変化について調査した。
その結果、部下からの「戦略情報の提供」「進捗状況の確認」「動機付け」に対する評価が高い場合、マネジャーの上司からの「自社の戦略や課題の確認」「業務への要望や改善点の確認」「外部情報の提供」への評価が、部下評価に及ぼす負の影響を緩和、もしくは正に転じさせる傾向にあることが分かった。
結果を受けて同社は、次のように考察している。
- マネジャーは組織において、上下や左右の情報の結節点としての機能が求められるものの、過剰に上司の方針や意図を確認したり、上司に状況を報告する行動は結果として部下からの評価を低下させるリスクがあり、得た情報を元に自身で考え行動し、部下の成長を支援するといった行動が重要と考えられる
- 部下の状況を把握しながら部下に情報を伝達したり、部下への動機づけを十分に行っていたりする場合には、上司への方針確認や状況伝達が良い方向に働く可能性がある。マネジャーが上司ばかりを見てマネジメントを行うと、部下からの評価の低下や、従業員エンゲージメントの低下につながる可能性があると考えられる。
なお、同調査の概要は次のとおり。
- 調査期間:2015年1月から2022年5月
- 調査機関(調査主体):株式会社リンクアンドモチベーション モチベーションエンジニアリング研究所
- 調査対象:2015年1月~2022年5月にリンクアンドモチベーショングループ内で実施したマネジメントサーベイを受けたマネジャー
- 有効回答数:182名
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