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理想の組織文化をつくる「対話」の効能 | #2

あなたの組織に「対話」はありますか 勝ち負けでなく「違いを理解する」コミュニケーションが組織を変える

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 組織文化を醸成するために欠かせない社員同士のコミュニケーション。理想の組織文化をつくるための効果的なコミュニケーションを探る本連載の第2回では、社員1人ひとりの行動を変える「対話」に焦点を当てる。私たちがふだん行いがちな「ディベート」「説得」「ディスカッション」と、行動変化の動機付けに効果的だという「対話」は、何が違うのだろうか。また、対話を行う人が最初に乗り越えるべき壁とは。株式会社コーチ・エィ 執行役員の片桐多佳子氏が解説する。

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1人ひとりが行動を変えるための動機付け

 前回、組織文化とは、特定の役職の人たちだけが生み出しているものではなく、組織に属するすべての人が影響し合って醸成しているものだとお伝えしました。ゆえに、組織文化をつくったり変革したりするためには、入社1年目の社員から経営者まで、全員の変化が求められます。

 とはいえ、「こういうふうに決まったからやりなさい」「あなたはこう変わるべき」と指示するだけでは、抵抗する人も多く、行動も変わりません。

 「変わらなければいけないのは、自分ではなく部下だろう」「経営者や上司が変わらなければ、こんなことをやっても意味がないだろう」「1人ひとりが少し変わったくらいで、会社が大きく変わるわけがない」「分かったふりをして、適当にやっておこう」などと思う人が出てくるのも、ごくごく自然なことです。

 組織文化を生み出す、もしくは変革する、というミッションを持つ皆さんは、このような人が現れたときどうしますか?

 コーチ・エィが示す解の1つは、対話の促進です。

 人は、意識の有無にかかわらず、「何のためにそれをやるのか」「それをやることに何の価値があるのか」と、物事に対して自分自身で意味付けをした結果、行動を起こしています。

 さらに、他人から付与された意味よりも、自分で見い出した意味のほうが強く動機付けられます。自分自身で意味付けしたことに対しては、能動的に新しい行動にチャレンジしたり、積極的に行動の選択肢を広げたりできるのです。

 この意味付けを促すには対話が重要だと、コーチ・エィでは考えています。

「対話」とは組織の可能性を共創するもの

 皆さんは「対話」に対してどのようなイメージを持っていますか。

 「相手の考えをたくさん聞いて、自分の考えを伝えること」「腹を割って、いろいろな話をすること」など、それぞれ異なるイメージを持っていると思います。

 コーチ・エィでは、対話を互いの「違い」を顕在化させながら、共創したい未来に向けて、新しい「意味」「理解」「知識」を一緒につくり出す双方向のコミュニケーションと定義しています。

 私たちはふだん、「これが正しい」「これが普通」とされていることを無自覚に自分の中に取り入れたり、自身の経験や成功体験から「こういうときはこうするのが当たり前」と考えを固定化したりして、他人や自分自身をその枠の中に閉じ込めています。

 「上司の言うことに、部下は必ず従わなければならない」「経験豊富な人からしか、新しい学びや気づきは得られない」「こういうときは、こうするのが正攻法だ」という考え方も、その一例です。

 さらに、このような「自分が考える正しさ」を、自覚の有無にかかわらず、さまざまな場面や方法で、他者に証明しようと躍起になったり、押し付けていたりするものです。

 対話は、自分の正当性を証明することでも、相手を説得して自分の意見に誘導することでもありません。

 双方がそれぞれに持つ「当たり前」を表に出しながら、その違いをお互いが認識し、お互いがそれらを疑って見直し、新しい可能性や方向性を探索して一緒に生み出していく。これが対話なのです。

 対話は、あらゆる「当たり前」から私たちの視点を解放し、新しい可能性を開くものなのです。

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この記事の著者

片桐 多佳子(カタギリ タカコ)

株式会社コーチ・エィ 執行役員国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ一般財団法人 生涯学習開発財団認定マスターコーチ東北大学経済学部卒。コーチ・エィでは経営層を対象としたエグゼクティブ・コーチングを行い、200人以上のビジネスリーダーへのコーチング実績を持つ。「組織インパクトを出す」コーチン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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